THE BIBLE 〜選ばれし者たちの歴史物語〜 #1 アブラハムからモーゼまで
大洪水の荒波の中、ノアが家族を前に語り出す。
「始めに、神は天と地を作られた。
地は混沌とした深い淵で、その上は闇に覆われていた。
神が「光あれ」と仰せになると、そこに光が現れた。
2日目に神は水を2つに分けて、海と空を作られた。
3日目に神は陸地を生み出し、そこに草木を芽ばえさせ、更に果実を実らせた。
4日目、神は天に太陽と月、星を浮かべた。
そして5日目に水中に住む生き物を作られた。
空の鳥たちも。
神は6日目に地上を獣で満たされた。
それから我々、人を作られた。
そして、楽園に住まわせた。
だが、アダムとイブは神に背き、禁断の果実を食べて追放される。
この身を食べたことで、2人は善だけでなく悪にも目覚めたからだ。
カインがアベルを殺して以来、神は人々の心に悪がはびこるのを見てきた。
人はあまりに多くの過ちを犯し、それゆえにこの大洪水が。
神は地上から生き物を拭い去ろうと決められたのだ。
だが、私には警告してくださった。
方舟を作り、家族と、全ての動物のつがいを乗せよ、と。
それ以外のあらゆる生き物は、死に絶えるのだ。」
嵐が去って洪水が落ち着き、陽の光が方舟に指し込む中、ノアは言った。
「そして7日目、神は休まれた。」と。
このようにして始まる、聖書をできるだけ忠実にわかりやすくコンパクトにまとめた再現(?)ドラマだ。
ドラマの冒頭でノアが家族に語ったのは『創世記』の冒頭である。
ここで音声と文章で『創世記』が読める。
一度、ノアとその家族以外、人類は滅んだ。
ノアとその家族はその後の人類の新しい祖となったのだが、結局、このあと人類はまた互いに別れ、争うことになる。
アブラハムが神の啓示を受け、神を信ずる民の祖となる。
この時、神が用意し、そこへ行くよう指示したという場所が「約束の地」である現在のイスラエルのあるあたりというわけだろう。
Wikipediaによるともともとイラク南部のメソポタミア地方のウルというところにいたという説があるそうだ。
そこからパレスチナのカナンという場所に行き、現在のエルサレムの北あたりに住み着いたらしい。
ドラマでは触れられていないが一度干ばつで飢饉が起き、その地を捨ててエジプトに移り住んでいるらしい。
そして、色々あってエジプトで一財産築き、パレスチナ問題でよく耳にするヨルダン川西岸に戻ってくる。
ここから栄え、広まった民たちが信仰してきた神を想定している宗教がユダヤ教、キリスト教、イスラム教で、これらは「アブラハムの宗教」と呼ばれている。
同じ神を信仰し、その神が何を望み、人はどのように生きるべきかという解釈が異なっているのがその3つの宗教なのである。
大きなスケールだが、仏教で言うと宗派の違いとなるのではないかと思う。
イスラム教ではアブラハムはイブラーヒームといい、イスラム教でも預言者として崇められているそうだ。
アラブ人の祖先はアブラハムが正妻サライが年老いてから授かるイサクが生まれる前に、召使いだったハガルとの間にできたイシュマエルがアブラハム一行から追い出されて、落ち着いた先で栄えた民族が祖先だと言われている。
ドラマでは、アブラハムの甥のロトが移り住んだヨルダン川東岸でのソドムとゴモラの話があって、その後、またアブラハムの子孫たちは約束の地を離れて、エジブトへ移り住み、そこで奴隷となっていたということになっている。
子孫たちであるヘブライ人あるいはユダヤ人の子供として生まれたモーセは、当時のエジプトの王ファラオの命令で赤ん坊の殺害が行われていたため、これを逃れるためにかごに乗せてナイル川に流された。
王族の娘がこれを拾い、彼は王族として育てられた。
兄アロン、姉ミリアムそして母のヨケベドはモーセを見守り続けていた。
自分の出自を知ったあと、モーセはファラオにヘブライ人がエジプトを出られるように懇願するが、それが受け入れられず、十の災いが起きてファラオの子供は死んでしまう。
これによって一度はヘブライ人たちの旅立ちを認めたファラオだが気が変わり、彼らを無理矢理連れ戻すために軍を率いて彼らを追った。
エジプトとアラビア半島に挟まれた紅海を前にして、追い詰められたモーセたち一行だったが、モーセが海に杖を突き立てると海が割れ、道ができた。
モーセ一行が道を渡り切ると割れた水の壁が元に戻り、ファラオの軍は海に沈んだ。
これが「出エジプト」である。
聖書をまともに読んだことがないのでどこがどれほど異なっているのかわからないが、聖書の表面的な物語を知ることができた。