がんと付き合いながら生きる。その方法。末期でもあきらめない。その1
「がん医療最前線」という番組を見た。
パート1は見逃してしまい、パート2だけ見た。
あるがん患者の奇跡とその秘密
冒頭でがんにまつわる、あるひとつの奇跡が紹介されていた。
京都に住んでいる男性、八坂正博(65歳)は、がんで余命半年と宣告されながら16年も生きながらえているというのだ。
病院への通院も半年に一度だそうだ。
普通は寛解状態になっても通常は、最初のうちは1ヶ月に一度、それが徐々に3ヶ月に一度、半年に1度と間隔が長くなっていくものだったはずだ。
彼は現在もステージ3の肺癌なのだそうである。
それが半年に一度しか病院へ通っていないというのは確かに普通ではない。
ステージ4が末期だったはずだが、ステージ3でもがんが肺の外へ飛び出して他の組織に転移している状態を指す。
リンパ節への転移も見られるということはそこから全身へ転移する可能性もある。
彼が肺ガンであるとわかったのは2001年。
手足が腫れ上がって病院へ担ぎ込まれたそうだ。
そこでCTを撮って末期の肺癌だとわかり、京大病院で放射線と抗がん剤の治療を受けた。
治療で一命を取り留めたものの再発したそうだ。
ちょっとわからないのは再発というのが何を指すのかだ。
ガンが治ったのではないだろう。
手足が腫れ上がってどうにもならない状態がよくなったということなのではないだろうか?
ともかく、再発した時にはもう治療の術がないとのことでホスピスを紹介されたそうである。
彼はホスピスに入ることを拒否し、自分で治療法を探り始めた。
そこで彼が注目したのが滋賀県でよく食べられている伝統食だった。
それは滋賀県では「薬いらず」という別名がある名物食品、鮒寿司だった。
地元では体調を崩すと鮒寿司を食べるという慣習があったらしい。
鮒寿司はヨーグルトと同じ乳酸菌発酵の食品である。
身体には良いのだろうが、塩分が高く上、高価であり、一時的に体調を崩した時に食べるのならともかく、八坂さんのように体質改善のために毎日食べようと思うと難しい。
そこで彼は鮒寿司を元にしてある食品を考案した。
鮒寿司を種菌にしてヨーグルトのようなものを作ったのである。
ヨーグルトといっても牛乳はつかっておらず、鮒寿司の種菌に米粉と水で作られていた。
食事も玄米と野菜を中心にしたものに切り替え、それに加えて鮒寿司ヨーグルトを一日500g食べるようにした。
それを続けた結果、がんはなくなることはなかったものの大きくなったり広がったりすることはなく、10年以上そのままの状態を維持したというのである。
ネットで調べてみたところ、鮒寿司由来の乳酸菌に抗がん効果があるということで今では有名になっているようである。
がん抑制効果以外にも免疫強化やアトピー抑制効果があるようだ。
普通のヨーグルトの乳酸菌と異なり、鮒寿司の乳酸菌は植物性乳酸菌と呼ばれるものだ。
鮒寿司研究をしている前田浩明農学博士によると、病院と共同で鮒寿司由来の乳酸菌を患者に摂ってもらい、八坂さんと同じような効果を得ているとのこと。
メカニズムははっきりとはわかっていないようだが、リンパ球を始めとする免疫細胞が活性化されることでがんが抑制されるらしい。
八坂さんの治療歴の資料には鮒寿司を食べ始めた2006年で放射線や抗がん剤による治療をやめていることが記録されている。
現在は半年に一度、病院へ通っているそうだ。
担当医師のプロフィールを見ると、東京大学医学部附属病院の呼吸器外科となっていたので東大病院へ通っているのだろう。
この担当医は八坂さんの件に関しては、科学的根拠が十分でないので、鮒寿司については否定も肯定もしないという立場のようだが、将来効果が認められる可能性についてはありうるという考えのようだ。
がんの棲みにくい身体を作る食事法
がんを予防する食事に関する取り組みはこの他にも色々と行われているようである。
がんを治すのとは違って、がんを予防するという観点では比較的縛りがゆるいのだろう、公的な所でも研究が行われているのである。
細胞を傷つけ、がんの原因になる活性酸素を無効化する抗酸化物質を含む食品などはその代表的なものである。
同じく京都にある、からすま和田クリニックでは食事療法によってがんの治療効果を上げているそうだ。
食事指導によってステージ4の肺癌が小さくなり、半年という余命宣告から3年たっているという男性が2人ほど紹介されていた。
一人は全身の骨にまで転移していたものが食事療法によって消えたというのである。
また6年前にステージ4の乳癌の告知を受けた女性は、肺やリンパ節にまで転移していたものが腫瘍が小さくなり、抗癌剤治療をやめて食事療法中心の治療に絞って生活するまでに回復しているそうである。
ここでもがん抑制のメカニズムに関わっていると考えられるとして指摘されているのはリンパ球を始めとする免疫機能。
ではリンパ球を増やす食事とは何だろうか?
それはキノコ類だそうだ。
これを食べるとリンパ球が活性化されるのだそうだ。
また身体が酸性に傾いている状態も良くないのだそうだ。
酸性化すると癌細胞が増加するらしいこともあるが、少なくともがんが良くなった人は尿がアルカリ化しているのだとか。
身体をアルカリ性に持っていく食事も紹介されていた。
それは減塩。
塩分を多く摂るような食生活で身体は酸性に傾くのだそうだ。
がんがなくならないまでもがんが住みにくい身体を作ることが大事だという。
からすま和田クリニックの和田洋巳院長は、元々京大病院に勤めており、そこでがんが消えたり劇的に小さくなった患者を見てきたそうである。
そのような患者は皆、自然治癒力を高めるような生活に改め、体質改善に取り組んでいたのだそう。
特に多くの人に共通していたのが食事の改善だった。
和田先生が勧める、がんを予防する食事のポイントはというと、
まずは減塩。
上記の通り、身体が酸性化するのを防ぐためである。
次に生野菜。
癌細胞が増える原因となる全身の炎症を防ぐ効果があるのだとか。
この生野菜を食べるためのドレッシングも塩の量に気をつけて、粗挽き胡椒や亜麻仁油、レモン汁をうまく使うと良いそうだ。
そして、キノコ。
これも上述の通り、リンパ球を増やして免疫機能の活性化が期待できる。
普通に食べても良いのだろうが、炒めてからペースト状にすることで吸収しやすくするとさらに良いとのことだ。
ペーストにして色々な食材に混ぜて食べるようだ。
毎日50g食べるというのは金銭的にもちょっと大変だと思うが、命にはかえられない。
自宅で栽培できるものもあるので、自分で作ってみるのも良いかも知れない。
ご飯は白米よりも玄米が良いそうである。
糖分の吸収が緩やかになるのが良い。
というのも糖質はがんの格好の栄養源になるからだそう。
この前の血糖値スパイクの件もあるので、ご飯を玄米にしたり、血糖を上げない食生活は色々な面で重要なようだ。
前立腺がん、膵臓がん、肺がんと多くのがんにかかりながらも80歳を迎えている男性も紹介されていた。
膵臓がんなどは生存率が極めて低いがんである。
それをも克服しているのだから、希望が持てるというものである。
がんがあちこちに散らばっていて、もはや癌細胞を切除するなどの治療はできないとのことで、からすま和田クリニックを受診したようだ。
食事療法によって、がんが無くなり、趣味のヨットを楽しむ生活が送ることができているとのことだ。
元々、個々人で独自に試していた食事療法などの体質改善の方法を、医療として患者さんに試してもらい、データを集めてエビデンスにしていくことが重要だ。
頭から、たまたまだとか、民間療法に関知しないというのでは、いつまでたっても科学的な根拠は蓄積されない。
そうであれば、食事療法を始めとする治療法はいつまでたってもキワモノ扱いのままである。
病院に見捨てられた患者を救っていることももちろんすばらしいが、民間療法の領域に果敢に取り組み、データを集めている和田先生は尊敬できると思った。
しかし、そう夢のような話ばかりではないようで、がんが目に見えて良くなったのは、このクリニックの患者の2割なのだという。
ということは8割はより状態が悪くなったか良くて現状維持ということだ。
しかしながら、食事療法というものにすがってこのクリニックを受診している患者の多くが、他の病院で匙を投げられたステージの進んだ人たちだとすると、2割も良くなっているというのは驚異的だとも言えるかも知れない。
和田院長が病院で指導している食事法は本にもなっている。
残りは次回