血糖値スパイクは万病のもと。そのメカニズムと血糖上昇を抑える秘訣とは?
- 血糖値スパイクとは?
- 血糖値スパイクは何故、見つかりにくいのか?その危険性は?
- 自己診断チェックテストと血糖値スパイクになりやすい人の傾向
- 睡眠不足でも血糖値スパイクに。子供の頃から徐々にリスクが高まる
- 血糖値スパイクを防ぐ方法1 食べる順番
- 血糖値スパイクを防ぐ方法2 低糖質食
- 血糖値スパイクを防ぐ方法3 運動
シリーズ医療革命「あなたを襲う“血糖値スパイク”」を見た。
NHKドキュメンタリー - シリーズ医療革命「あなたを襲う“血糖値スパイク”」
以前、NHKスペシャルで放送していた内容を再編集したものだ。
医療革命の方ではさら内容が充実しているので面白い。
血糖値スパイクとは?
血糖値スパイクというのはいわゆる食後高血糖のことで、空腹時には血糖値に異常がなくても食後だけ急激に血糖値が上昇するというもの。
血糖値スパイクというのはNHKが名付けたようで、普通はグルコーススパイクとか血糖スパイクとか言われているようだ。
番組内でも医者や研究者はそのように言っていた。
以前は、食事をすると血糖値が山状に跳ね上がり、それがトリガーとなってインスリンが分泌され、速やかに血糖値が正常の範囲まで落ちるという風に、血糖値とインスリンの関係が説明がされていたように思う。
特に問題とはされていなかったのではないだろうか。
インスリンがうまく働かなかったり、インスリンの量が少なかったりして、血糖値がいつまでも下がらないことだけが問題にされていた印象がある。
ところが近年の研究ではこの食後にだけ起きるの血糖値の急激な上昇が、将来の糖尿病に繋がるだけでなく、がんや心筋梗塞などの原因となることがわかってきたそうだ。
日本人の1400万人がこの血糖値スパイクの症状を持っている可能性があるとのこと。
境界例や明らかな糖尿病は除外されているわけだから、この数字はかなり多い。
血糖値スパイクは何故、見つかりにくいのか?その危険性は?
NHKが一般の人に協力をお願いして行った調査では、おにぎり2個と果汁が入った野菜ジュースを食べて飲んで、その1時間後に血糖値を測っていた。
その値が140以上だと問題になるとのことだった。
番組では単位は表記してなかったが、血糖を測る計測器にはmg/dlと表示されていた。
朝食ならこのくらいの量の人もいるだろうが、昼食だともっと食べている人は多いのではないだろうか?
夕食ならさらに多く、豪勢な食事をしているだろう。
おにぎり2個と野菜ジュースだけで血糖値に問題が起こるのはちょっと意外というかショックだ。
番組では140どころか233を記録した人がいた。
食事をすれば血糖値は上がるのが当たり前だがどのくらいまで上がるのは問題ないのか疑問に感じた。
1時間以内に下がるなら問題ないのだろうか?
それともある一定以上に上がること自体、まずいことなのだろうか。
血糖値が高い事自体が問題で、1時間と言わず速やかに戻ることが望ましいということだと、かなり体質に依存するような気がする。
血糖値スパイクになる人でも多くの場合、2,3時間ほどで正常値に戻るそうだ。
健康診断は通常、空腹時血糖値しか調べないので問題が見つかりにくいとのことだ。
糖負荷試験を行うと血糖値スパイクも糖尿病もわかるようだ。
時間がかかるから通常はやらないのだろう。
しかし、心筋梗塞や狭心症など心臓に問題を抱えている人の約半数が血糖値スパイクだったという調査結果もあるとのことだ。
血糖値が急激に上昇した状態が起きると血管の細胞で活性酸素が増えて細胞が傷つき、そこに免疫細胞が入り込んで血管の壁がもろくなるというメカニズムが起こっているようだ。
血管が傷つくわけだから全身の病気に関わっているのだろう。
心筋梗塞だけでなく、脳硬塞の原因にもなる。
活性酸素が増えて細胞が傷つくのでがんの原因にもなる。
さらには、血糖値が下がりにくいとインスリンの分泌量が増え、それが脳に到達することでアミロイドベータを分解する酵素がインスリン分解に使われて、脳内のアミロイドベータが減らずに蓄積していき、アルツハイマー型の認知症に繋がることも指摘されているそうだ。
この場合はインスリンの分泌量が少ないわけではなくて、インスリンの効きが弱い人の話なのだろう。
血管が悪くなれば脳の血流も悪くなるわけでその他の認知症の遠因にもなるのだろう。
まさに万病のもとになっているのが血糖値スパイクなのだ。
自己診断チェックテストと血糖値スパイクになりやすい人の傾向
福岡県久山町での大規模調査で血糖値スパイクになりやすい人の傾向がわかったとのことで、それを元にして作られたWeb上で自己診断テストがある。
“血糖値スパイク”危険度チェック|NHKスペシャル“血糖値スパイク”が危ない〜見えた!糖尿病・脳梗塞の新対策〜
上のサイトはNHKスペシャルのときのもので、そこで紹介された調査結果はこちら。
“血糖値スパイク”危険度チェック 集計結果|NHKスペシャル“血糖値スパイク”が危ない〜見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策〜
全体では高が14%で中と合わせると54%が血糖値スパイクの危険性があることになる。
男女別では男性が高、中合わせて68%の人が血糖値スパイクの可能性がありだ。
それもそのはずで、番組よると男性であるというだけで血糖値スパイクの危険性が高くなるらしく、チェックテストでは男性と答えるだけで4点加算されるようになっているそうだ(もちろん点数が高いほど危険性が高いという判定)。
女性は0点なのだ。
その他、年齢は45から54歳が最も高くて4点。55から64が3点。その他は0点。
親、兄弟に糖尿病の人がいる場合、なんと7点。
お腹が出ているかどうか、具体的には腹囲が男性で90cm、女性で80cm以上かどうかのチェック項目では、該当する場合、3点だ。
BMI(=体重÷メートルで表した身長の2乗)が26以上だと7点。23から25.9で3点。
血圧が高いかどうか、具体的には140/90mmHg以上、もしくは血圧の薬を服用中の場合には7点。
タバコを1日10本以上吸っていると5点。9本以下だと2点。
逆に、週に3日以上、意識して運動していると5点の減点となっている。
合計点が9点以下がリスク低、10から19点がリスク中、20点以上がリスク高とのことだ。
試しにやってみたら、「リスク高」だった。
すでに血糖値スパイクなのかも知れない。
薬のせいで太ってしまったのが大きい。
やはり肥満はまずいのだ。
しかし、痩せていても血糖値スパイクである人は少なくないことも番組では紹介されていた。
ある女性の糖負荷試験で甘い飲み物を飲んだあとの30分ごとの血糖値が映されていた。
0分 | 30分 | 60分 | 90分 | 120分 |
---|---|---|---|---|
88 | 137 | 123 | 188 | 190 |
だった。
徐々に上がっているが2時間後がもっとも高くなっている。
前述のNHKが行った調査では1時間後の血糖値しか測っていない。
その場合、140以下なので血糖値スパイクとは判定されないことになるのだ。
この女性の場合、どのくらいでピークを迎えて、どのくらいで正常値になるのか気になるところだ。
スパイクというよりもダラダラ高い状態が続くタイプの糖尿病のような気がする。
順天堂大学院医学研究科の調査では20代のやせ型の女性の24%が血糖値スパイクだったとのことである。
原因として考えられるのは筋肉量で、糖分を取り込む筋肉がないことで糖分が血液中に増えてしまうそうだ。
だったら筋肉量が少ない女性のほうが血糖値スパイクのリスクが高いような気がするのだが。
ちょっとその辺が疑問である。
睡眠不足でも血糖値スパイクに。子供の頃から徐々にリスクが高まる
その他、睡眠不足でも血糖値スパイクになるリスクが高まるそうだ。
被験者は2週間、実験室に閉じ込められて生活し、24時間監視されるという実験だったようだ。
それだけでもストレスなような気がする。
最初の6日間は12時間睡眠で、次の6日間は4時間しか睡眠が許されないという内容だった。
後の2日は準備期間だったのだろうか?
ともかく、その状態で血糖値を測ると4時間睡眠の方が食後血糖値が高くなったとのことだ。
健康な人でも睡眠不足になるだけで血糖値スパイクのような状態になる。
人は眠るときには脳からホルモンのメラトニンが出るが、これが膵臓に到達するとインスリンが増え、筋肉に取り込まれることで糖の取込みを促進するのだそう。
睡眠不足でメラトニンが分泌が少なくなり、上に上げた効果が得られなくなるそうだ。
子どもたちの血糖値が平均的に高くなっていることもわかってきたようだ。
香川県で子どもたちの平均的な血糖値の高さがわかるヘモグロビンA1cを調べてみたところ、これが高めの子供が男子では全体の14.5%、女子では13.6%いた。
平均的な血糖値が高い子供は将来的に血糖値スパイクなどの問題を抱えやすいのだそうだ。
食生活の影響が大きいのであろうが、近年問題になっている子供の睡眠時間の現象とも関係があるのだろうか?
血糖値スパイクを防ぐ方法1 食べる順番
では、血糖値スパイクを防ぐ方法には何があるのか?
マウスを使った実験では、血糖値に問題のあるマウスに血糖値を下げる薬を2ヶ月投与したところ、ほとんどインスリンを分泌していなかった弱っていた膵臓が、インスリンを正常に近いくらい分泌するようになったそうである。
別の番組で初期の糖尿病で積極的にインスリンを注射することで膵臓が元気を取り戻すという事例が紹介されていたがそれと同じようなものだろうか?
毎日の生活を改善することでも同様の効果が期待できるそうである。
その改善のひとつは食べる順番を考えることである。
野菜を食べて、食物繊維によって食物(これには炭水化物などの糖質)の吸収を抑えることは知られている。
肉や魚などの脂質、タンパク質を摂ると腸からインクレチンという物質が放出され、胃腸の動きが遅くなり、食物の吸収が抑えられるのだそうだ。
さらにインクレチンには膵臓でのインスリンの分泌を高める効果があるそうだ。
野菜、肉・魚を先に食べ、最後にご飯やパン、麺類を食べると血糖値の急激な上昇を避けられるという結論だった。
締めにご飯やパンなどの主食というのはちょっと慣れるまで時間がかかりそうだ。
おかずの味でご飯を書き込む人がほとんどだろうから。
また口中調理を基本とする和食文化を持っている日本人には特に難しいと思う。
学校で三角食べを習った人も多いだろう。
最後に味のあまりないご飯やパンを食べるなら糖質制限したほうが良いような気がする。
極端なことをせずにできる範囲で行うのが妥当なところだろう。
朝ご飯を抜くとその後の食事、普通は昼食になるだろうが、この時に血糖値スパイクが起きるようになってしまうらしい。
朝も昼も食べないと、夕食を食べた時に血糖値スパイク。それも朝だけ抜いた時よりも急激なスパイクが起きるそうだ。
私は夜に1食だけ食べるので確実に血糖値スパイクが起きている。
気をつけなければ。
複数回の食事に戻すか、より厳格な糖質制限をするか選択に迫られているのかも知れない。
うつ病や精神的な不安定さ、慢性疲労などの背景に、食後や甘いものを飲んだり食べたりしたあとの血糖値の乱高下があり、食事の方法を工夫することでそれを防ぐことを提唱している一部の精神科医がいる。
こういうタイプの人は短い間に血糖値が上がったり下がったりするそうだ。
そのような人も結局、そのことを想定した検査をしないとわからないわけだから、血糖値スパイクと同様になかなか原因がわからず、ドクターショッピングをしたり、長く本来のものでない治療法を漫然と受けるだけになる。
上のリンク、新宿溝口クリニックのサイトを見ると血糖値スパイクのような症状を呈した患者の事例が紹介されている。
糖負荷試験をすると甘いものを飲んで30分で200を超える値まで急上昇。
90分あたりで空腹時血糖値の正常値とされる100前後に戻り、120分でさらに下がって60を割り込む。
その後、再び上昇に転じているのだ。
やはり血糖値スパイクとも関係があるのかも知れない。
ここのクリニックでは糖負荷試験を甘いものを摂ってもらった後、5時間にもわたって検査をする。
普通の精神科では、そもそも空腹時血糖値を調べることがあるくらいで、糖負荷試験など行わないから、原因を特定することなどできないのである。
健康的な食事をすれば、身体の不調や精神的な病気も治る!と半ば精神論的なことを言う人は昔からいる。
字面だけを見れば正しいが、その「健康的な食事」というのは、一般的な食事の内容や食べ方では無いことがよく分かった。
普通の食事をしていて調子を崩している人は、普通でない、特別に考えられた食事をしなくてはいけないのである。
血糖値スパイクを防ぐ方法2 低糖質食
アメリカのデューク大学では血糖値が高かったり肥満の人のための低糖質食の食事指導が行われているそうである。
軽度の糖尿病では糖質が占めるカロリーを全体の50%に抑えることが指導されているようだ。
重度の場合、糖質は全体の10%にまで抑えられているが、完全になくすことをしてはいけないらしい。
番組ではカリフラワーを細かくしたものをマッシュポテトやご飯の代用として紹介していた。
医師や栄養士と相談して素人判断で糖質制限しないことと注意していたが、番組の責任を逃れるための予防線のような気がした。
普通の人が医師や栄養士の指示を仰ぐ機会なんてほとんどないのだから。
すでに糖尿病などの病気があるなら医者と話す機会はあるが、低糖質食の相談をするためだけに病院にかかることはない。
一般の人に食事指導をしている栄養士というのも身近にはいないが普通だ。
給食センターや病院、老人ホームなどの施設にいる栄養士に聞く機会もない。
血糖値スパイクを防ぐ方法3 運動
食事だけでなく運動も血糖値を速やかに下げるのに効果的だそうだ。
それも散歩程度で良いそうだ。
食後15分ほど胃腸に集まる血液が、運動によって全身をめぐるようになるために、結果として消化がゆっくりになるからという説明だった。
仕事場で遠回りをしたり、立ったままで会議を行い、その場で足踏みをしても改善が見られたようだ。
別の研究で、家の中で足踏みをしたり早足でぐるぐる部屋を回るといったことでも、心拍が上がり普通の運動と似たような効果があったというのを新聞で見た。
家の中でもできる運動をすれば、血糖値スパイクにも効果があるのではないかと思った。
私も生活を見なおして血糖値スパイクにならないよう気をつけようと思う。
だが、努力だけでは難しいので、血糖値の上昇を緩やかにする健康食品と体脂肪を減らすサプリでも買おうかなとも思う。
血糖値を下げる効果があるとされているビオチンも良いかも知れない。