本が出てきたので読み返してみた
部屋を片付けていたら、本が出てきました。
風邪を引いているのですが、風邪薬を飲んだらいつもより少し頭の具合が良いので、パラパラと読んでみました。
古い本です。
昭和56年に第一版が販売されたようです。
ここに書かれている窮屈さや不自由さは、現代において少しは改善されたのでしょうか?
都市部では支援の輪が広まっていろいろな活動があるようですが、地方では未だにこの本に書かれているような世の中のままのような気がします。
さらには「蒸発」という、別の土地へ衝動的に生活の拠点を移す人たちがだんだんと見られなくなっているような気もします。
マイナンバーなど高度に管理された社会では、どこまで行っても過去から逃げることが出来ず、ずっとついてまわりますからね。
一気にドヤ街のようなところへ行くとかホームレスにならなければ、やり直しが効かず、逃げ場のない状況が出来上がることになります。
本によるとこれが書かれた頃は、それ以前よりも自殺者が減ってきており、自殺以外の逃げ場ができつつあるせいではないか?と著者は分析しています。
この1,2年ようやく3万人を切ったと言われていますが、人口が2倍のアメリカと比べて、2倍の自殺者を生んでいるという日本には、未だに自由度が足りないところがあるような気がします。
また、日本における子殺しが古事記にまで遡ることができるという指摘も衝撃的でした。
これは少し新しいです。
とはいっても出版は1996年、今から19年も前です。
この本ではほとんど触れられていませんが、この本を書いた笠原嘉氏は「退却神経症」という現在で言うひきこもりのようなものが以前からあったことを指摘した本も書かれています。
ただ退却神経症では、自分の「本業」にのみ無気力になる、という「新型うつ」の要素があるようで、そのあたりは少しひきこもりとは違うような気がします。
また、ひきこもりはスチューデントアパシーやサラリーマンアパシーでも無いので、現代の問題とは少し捉えられ方が違うか、別のグループを指しているようです。
しかし、ひきこもりはこの頃から既にいたわけで、2000年前後になぜこれほどまで異常視され、かえって追い詰めるような状況を作り出したのか、今でも不思議でなりません。
もう一冊出てきたのですが、それはまだ読み返していないので、次回、調子が良ければ紹介したいと思います。