あさイチで強迫性障害を特集していました。私が読んだおすすめの本を紹介します。
汚れが気になって手を洗うのをやめられない。
ドアを閉めたか、ガスコンロの日を消したか不安になって何度も確認してしまう。
それが過度になって生活に支障をきたすようになった場合、それを強迫性障害と呼びます。
この病気が知られていないというのはかなり意外でした。
しかし、これはある時期以降、病名が細分化され名称が変更されたせいだろうと思います。
昔であるとこれは対人恐怖症や尖端恐怖症などと同じ様なもので神経症の一種であると分類されていました。
強迫神経症と呼ばれていたものです 不潔恐怖、縁起恐怖、確認恐怖、加害恐怖、自己視線恐怖、自己臭恐怖、わき見恐怖などというものまであります。
これらは全て以前の神経症の範疇でした。
変わったものだと視界に入る自分の鼻が気になる人までいます。
下の本は、それに対する認知療法を行った患者の実例集です。
日本人の強迫性障害よりもさらにすごい事例がたくさん出てきます。
日本人はあまり宗教観が無いので、場合によってはオカルトチックで別の病気として診断されてしまうのではないかというひどい縁起恐怖の人もいます。
毎夜毎夜、ある舗装道路を薬品を使って洗い続ける人も出てきます。
強迫性障害の人は脳のある部位が異常に活性化しているそうです。
認知療法を続けていくうちにそれが少しずつ改善されていくそうです。
認知療法だけでも効果はあるが、浮き輪的に薬物療法も併用するということが書かれてありました。
自分で対処するための具体的な方法も書かれてます。
強迫性障害に苦しんでいる人や家族の方にはぜひ読んで欲しい本です。
なか見!検索ができるので内容を確認するだけでも参考になりますよ。
もう一つはこの本。
森田正馬に関するといっても、さほど本人に関する話は出て来ません。
彼が治療にあたった作家の倉田百三の話と、それから時代が下ってからの森田療法を世に広めた医者の一人である岩井寛の話の二部構成になっています。
倉田百三の神経症の症状もちょっと変わっていますがかなりひどいものです。
1と数字が思い浮かぶと2,3と数を勘定するのをやめられ無くなったり、神経が疲弊しているのに目を閉じると瞼の裏に映る景色が気になって眠れなかったりして苦しんでいます。
そんな症状に苦しみながら彼が如何に作家としての人生を全うしたかが書かれています。
また、精神科の岩井寛はある時、腹腔内にできた末期の癌宣告を受けます。
普通なら死の恐怖に耐えられず、自分の運命を呪ったり、怒ったり、パニックに陥るかも知れないところを彼はその恐怖をそのまま受け入れ、「あるがままに今、やるべきことをやる」という森田療法を実践します。
昨日、流通ジャーナリストの金子哲雄さんが肺カルチノイドという癌の一種でなくなりましたが、彼も病気が見つかった時には末期で手が付けられなかったそうです。
それでも最期まで仕事を続け、自分の人生のプランニングを修正しながら実行し続けたとテレビで紹介されていました。
金子さんの生き方は本に紹介されている岩井寛と重なります。
神経症・強迫性障害に苦しんでいない人も、誰にでも訪れる死を前にしてどのように生きることができるか、この本がヒントになると思います。