テレビや本を読んでも何も感じなくなる日
全く何も思い浮かばないと言う事は無いかも知れませんが、いい考えや感想が浮かばなくなって来ていませんか?
個人的には長い間悩んでいます。
過去に似たようなことに悩んでいた人がいました。
倉田百三という作家です。
みなさんも写生会に行った経験があると思います。
見たものを見たままに描くことを写生と言いますが、倉田百三はそれを言葉で行おうとしていた人の一人です。
当時は色々な文体や表現を試みることが流行っていたのでしょう。
すでに作家として成功していた倉田百三は、ある時その言葉による写生を試みていたとき、風景を見ても何も感じない自分がいることに気が付きます。
無理をして何度も試みるうちに、倉田百三は普段の生活でも様々なことが気になるようになり、生活に支障が出始めます。
それが神経症の始まりだったそうです。
しかし、彼は森田療法で有名な森田正馬の治療を受け、回復し、『親鸞』などの名作を生むことになります。
無理をすることが良くないと単純に考えるのは難しく、神経症になるほどのこだわりとそれをするだけのエネルギーが倉田百三のその後の作家としての復活に繋がっていったのかも知れません。
何も感じられなくなったときにどうするのが正解なのか悩ましい問題です。