海洋天堂 --ジェット・リーがアクション無しで魅せる感動の物語
妻を早く亡くし、男手一つで自閉症の息子を育てていた王だったが、突然、末期の肝臓癌を宣告されて・・・
そんな風に始まる物語です。
冒頭で心中を図る王でしたが、その後は覚悟を決めて施設を探したり、身の回りのことを息子に教えます。
お金の数え方や買い物の仕方、服の脱ぎ方、茹で卵の作り方。
自分が死んだ後も勤め先のプールで面倒を見てもらえるように掃除の仕方も忍耐強く教えます。
かと言って、良くある苦悩やストレスに押しつぶされて、子供に辛く当たってしまうシーンはほぼありません。
障害のある息子を最後の最後まで見届けようとする覚悟ある生き方が、暖かで穏やかに描かれます。
ジェット・リーと言えばアクションで有名ですが、この作品ではアクションはありません。
余命数ヶ月という病を抱えながら子供のために奔走し、暖かく見守り続ける父親という見事な演技はジェット・リーの全く違った一面を見せてくれています。
死んだ後、息子が孤独を感じないようにするために、プールの海亀を見て自分を思い出すようにと擦り込みを試みて海亀の格好をして一緒に泳ぐシーンが出てきて、半分ギャグみたいに見えるシーンでした。
しかし、命がかかった王という男にとっては大真面目であり、必死なのです。
「私は海亀だ」と何度も何度も教えてながら、王は死んでしまうのです。
そして、映画の最後に現れるメッセージ
「平凡にして偉大なるすべての父と母に捧ぐ」
私はこの映画を見ながらあるはてな匿名ダイアリーの記事を思い出していました。
この映画を見た後にこの記事を見ると話の内容が随分違って見えると思います。
この記事を投稿した人にも是非、一度この作品を見てもらいたいと思います。
記事を書いた男性も妻と生まれてくる子供に対する責任と覚悟があるように、障害者の子供を持つ高齢の夫婦にもそれと同じがそれ以上の責任と覚悟があったのだと改めて思いました。
号泣するような作品ではありませんが、絶対に見て損はない、感動の作品です。