女性に実際求められているかも知れない理不尽な能力
ここに書かれている、一度に短い時間でも機会を見つけては本を読むことにすれば、読書は続けられる、というアドバイスに勇気を得て青空文庫の作品を読み始めました。
吉川英治のエッセイ的なものかな。
そんなとき、こんな記事を見ました。
これを読んでいて、上の吉川英治の本のうちの「試されたお妃」という章を思い出しました。
ある貴族の娘が皇太子に嫁いだのですが、貞操の硬さを試すために手の平に氷を持たされたという話です。
この妃は氷を手の平の上で持ち続けたのですが、皇太子はそれを見てかえって冷めてしまったというか不信感を持ったみたいなのです。
つまり、理不尽に試されて手が冷たくて痛くなるほど我慢させられているのに怒り出さないようでは、他の男から強い調子で言い寄られた時にどうなるかわからない、というのです。
果せるかな、妃は他の男と密通し、不幸な余生を過ごすことになります。
レイプでは深刻さが全然違いますが、妃と皇太子の話のように強く男性に言い寄られて断りきれなかったというようなところがあったとすれば、少し事情は似てきます。
妃だって本当は望んで密通したのか分かりませんしね。
吉川英治はそのエピソードのあと、こう続けるのです。
たとえば、現代の
綏子 君なら『いやよ。ばかにして』と、言下に氷を男に打つけて怒るかもしれないし、さもなくば『あら、待てないわ』とばかりボリボリ噛み割って喰べてしまう事かもしれない。ところが、そのどっちにも男は皇太子(三条帝)と同じ興ざめを抱くだろう。どっちにしろ、男の観察が女をこころみる場合の眼は、暴戻無慈悲なものであるから、万一にも男から氷を手に載せられるなどの試しを仕向けられたら、女性はよろしくその処置に女性特有な冷めたい細心と美の放散を併 せ用いて、逆に男へ火をつかませる思いを与えなければなるまい。
我慢しない女性であろうがなかろうが、単純なやり方では男は冷めてしまうというのです。
試されたら、それを利用して男性をさらに惹きつけて離さない魅力と駆け引きを身に付けろというわけですね。
この能力が女性にあったら、匿名ダイアリーの投稿主も相手の女性と別れなかったかもしれません。
レイプは犯罪ですから女性が責められるものではなく、犯人がその罪を償わなければならないものだと思います。
レイプとまで行かなくても女性は陰に陽にセクハラのような嫌がらせを受けることもあるでしょう。
それだって、悪いのはハラスメントをする人なわけで、される方には本当ならば何か能力(コミュニーケーション能力など)を求められるなどというのは理不尽です。
しかし、ハラスメントを受けた時に真っ向、正直に正攻法でセクハラを拒否したり、相手を訴えれば、結局、会社や組織における自分の居場所を失うこともあります。
それをうまく交わし、丸く収めると大人の対応ができると評価されます。
理不尽ですが、それが現実なのかも知れませんね。
男性も別のところで大人の対応が求められるところは色々あると思いますけどもね。
女性のほうが噂好きですし、誰かについて噂をしているとき、それはハラスメントではないのか?と思うこともあります。
これから男女同権が進めば、女性から男性に対して行われるセクハラ事案も色々明るみになっていくだろうと思います。
大人の対応というのは理不尽を受け入れることなのかも知れませんが、泣き寝入りではなく何かポジティブなものに変えていくことまで求められているような気がしますね。
私には無理そうです。