失敗学
失敗学といっても畑村洋太郎さんのほうではありません。
私も間違えて手にとったけど、意外に面白かった。 ピンホールカメラの原型から、走馬灯、マジック・ランタンからOHP、パワーポイント(PowerPoint)にいたるデザインの変遷が冒頭で語られる。
パワーポイントはここ数年、ようやっと批判の声もあがるようになってきているが、 様式を強要し、そうでないものは否定されてしまう。
逆に様式やスライドなどの見せ方によって中身のない考えが、さも価値があるかのような説得力を持つと勘違いさせてしまう。
というようなことをやっぱり欧米でも言われていることに妙に納得。
この本で言いたいことはそう言うことではないんですが。
失敗とは「期待された性能と実現された性能とのあいだの受け入れえない差」である
とどこかの組織が定義しているらしい。 これもなるほどと思った。
こう言うことをきちんと言語にして明確にできる人は素晴らしいと思う。
失敗から足りないものや変えなければならないものが見つかる。
デザインは失敗から始まるといったことが書かれてました。
ある会社では「早いうちにたくさん間違えろ」と言われているそうです。
失敗をそのように捉えると失敗を隠すことがなくなる。
実際にはそのようにならないのは日本もその他の国も同じ。
そのあたりは件の畑村さんの失敗学と同様の事故が例としてあげられています。
スペースシャトルコロンビアや橋など。
薬瓶やノートパソコンの事例は今まで知らなかったので興味深かったです。
でも、やっぱりここでもあることが前提で全体がデザインされているのに、一部を変更したため元々の機能が失われたばかりか返ってもとの機能がデメリットになって、改良点が全体を改悪しているかのようになってしまう、というのはやっぱり共通した特徴だと思います。