水木しげる語録「怠け者になりなさい」の意味
水木しげるさんが亡くなりました。
有名らしい「怠け者になりなさい」という言葉が話題になりました。
小説家の京極夏彦氏によるとその意味は上のリンク記事にあるように、才能が有る人間はそのように生きられる、という結構ブラックな意味らしいです。
しかし、私は少し違う解釈をしました。
水木しげるさんはテレビのインタビューで、今の食べ物を粗末にして許される時代を異常視していました。
私はそれを踏まえると、「ある程度、働いて食えればそれで良いじゃないか」と言っているのではないかなと思いました。
つまり、現代は体も心もすり減らして働き、その結果、余らせて捨ててしまうほどの食料や商品を消費して生活しているのです。
それができる間は、消費しては使いきらずに捨て、病気になれば途端に社会から転げ落ちてしまう。
そのことに警鐘を鳴らしているように感じました。
結局、そのような生き方はその人自身も食べ物と同じように粗末にしているのだと思います。
残さず食べられるだけの食品や必要最小限の商品が手に入るだけ働き、それ以上は働いても働かなくても変わらない、という態度で生きられたら良いという理想を水木さんは持っていたのかも知れないですね。
大昔、農家なら農繁期以外はすることが限られていて、働いても働かなくても、その日有り付ける量は同じだったわけで、やる事だけやって後はのんびりするより仕方がなかったわけです。
その生活を大きく変えたのが現金収入の重要さが増してきた近現代の生活スタイルだと思います。
農家も現金収入のために兼業や農閑期の出稼ぎが必要になったのでしょう。
最低限の衣食住を得られるだけ働く。
水木しげるさんはそのことを言っているのではないかな、という気がします。
一部で流行っているミニマリストが理想の姿じゃないでしょうかね。
ミニマリストの家には妖怪がいるかどうかはわかりません。
おまけ
ただ、水木しげるさんはこんなこともおっしゃっていたそうです。
私は片腕がなくても他人の3倍は仕事をしてきた。もし両腕があったら、他人の6倍は働けただろう。命を失うより片腕をなくしても生きている方が価値がある。
怠けの話が書かれた漫画に反して、水木しげる本人は相当厳しい人だったようにも思います。
子供が女性ばかりだった(はず)せいで、子育てにもそれほど厳しかったというエピソードがないようですが、息子がいたら違っていたのではないでしょうか?