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がんと付き合いながら生きる。その方法。末期でもあきらめない。その2

「がん医療最前線」を見たまとめ・感想の続き。

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がんと腸内フローラ(腸内細菌叢)との関係

番組では、真矢みきさんとともにナビゲーターを務めていた冨田勝さんが所長を務めている慶應義塾大学先端生命科学研究所での研究についても紹介されていた。

関係ないがちなみに冨田勝さんの父は作曲家、シンセサイザー奏者として有名な冨田勲さんである。

話を戻す。

紹介されていた研究とは、腸内フローラとがんとの関係だ。

人の便の3分の1から半分が腸内細菌なのだそうだ。

そう考えると人のうんちは細菌の固まりであるとも言える。

これを調べることで色々なことがわかるらしい。

そもそもヒトの腸の中には、細菌が100兆匹もおり、種類は1000にも上るのだそう。

皮膚や口の中などの細菌も含めると相当な量と種類がいることになる。

ヒトの体にはそのヒトとは別の生命がたくさん生きているのである。

その腸内細菌とその割合が、肥満や動脈硬化、アレルギーやうつ病などの精神疾患にまで関わることが近年わかってきた。

便はフリーズドライにして保存しているのだそうだ。

かさも減るし、水分が無いので保存しやすいのだろう。

検査するときには、そこから一部を取り出して水で戻し、専用の機械で腸内細菌の遺伝子を取り出すという。

得られた遺伝情報はデータ化され、国立がん研究センターとともに共同研究パートナーである東京工業大学にあるスーパーコンピュータTSUBAMEに蓄積される。

一人の便から得られる遺伝子のデータは4000万。

それが1000人分、蓄積されているそうである。

膨大なデータである。

がんになった人とそうでない人の細菌の遺伝情報を比べて、際立った違いがあれば、その細菌の働きを調べて、がんのできやすさ、あるいはできにくさに関係があるか調べるのだ。

現在は腸内細菌がいる大腸のがんにのみ注目して研究しているそうだが、これから他のがんと腸内フローラとの関係も明らかになるかも知れない。

個人の遺伝子は変えられないが、腸内環境を変えることはできると研究者の福田真嗣特任教授は言う。

やはり、食生活を中心とした体質改善、生活改善が予防には重要なようだ。

福田特任教授が書かれた本もあるので興味のある方は参考にしてみて欲しい。

息を調べることでがんを早期発見

現在のがん検査は血液検査もあるが、主に胃や大腸の内視鏡検査やマンモグラフィーなど大掛かりなものである。

多くは痛みを伴い、時間も取られるので負担は小さくない。

そんな中で画期的な検査法が注目されている。

患者の息に含まれる臭い成分でがんかどうかを判別するのである。

順天堂大学の梶山美明教授がこの研究に取り組んでいる。

この教授は外科医でもあり、食道がん手術のスペシャリストだそうである。

数多くの手術を経験する中で、食道がんの患者の息には特有のにおいがあることはすでに広く知られていたそうである。

それを客観的なデータに基づいて判定するために、ガスクロマトグラフィーを用いて臭い成分を分類し、分析しているのだ。

食道がんの患者とそうでない人との息を比較・分析することで食道がん患者に特有の臭い成分の特定に成功したそうである。

食道がんの患者では、ブタノン、酢酸、アセトン、アセトニトリルという成分が際立って高かった。

このような研究結果を蓄積して、将来的には早期のがんの発見にも役立つ、とても簡便な検査方法が確立できる可能性があるとのことだ。

唾液からもがんが早期発見できるようになる

慶應義塾大学先端生命科学研究所では、腸内フローラの他にも、メタボローム解析を用いたがんを早期発見できるかもしれない検査法が研究されており、そのひとつが唾液を用いた検査法である。

メタボロームとは、生体内の低分子化学物質の総称のだそうだ。

DNAやタンパク質よりも小さいないしは細かい糖やアミノ酸などの物質が生体内には数多く存在する。

というのも細胞が活動する中でこれらが代謝物として発生するからだ。

前述の息に含まれる臭い成分も、がん細胞そのものかがん細胞と関係のある細胞の代謝物とも言えるのだろう。

メタボローム解析を行うことで、がんとそれらの関係を調べる試みが行われている。

慶應義塾大学先端生命科学研究所のメタボローム解析装置は、独自開発でありその装置の数、規模は世界最大なのだという。

この解析装置は唾液1滴で約100種類の代謝物を判別できる能力を持っているそうだ。

代謝物に電圧をかけてふるい分け、それを上方へ吹き上げる。

代謝物の種類によって重さが異なるので、落下するスピードも異なり、これによって代謝物をそれぞれ分類することができるのだという。

ここでもやはり、がん患者とそうでない人の唾液に含まれる代謝物を比べて、特徴的な違いを見つけることで、がんの早期発見が可能になるのだ。

膵臓がんは発見が難しく生存率も低いが、唾液のメタボローム解析には、この膵臓がんを早期発見できる可能性があるという。

この他、乳がんや口腔がんについても高精度で発見することが可能だそうである。

がんの発生、増殖にかかわる黒幕の発見

このメタボローム解析は、がんの早期発見の検査法の可能性以外にも目覚ましい成果をあげている。

がん細胞の代謝異常は1923年にオットー・ワールブルグによって発見された。

この、がん細胞に代謝異常を引き起こす原因は長くわかっていなかった。

それが慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授によって発見されたそうである。

これは唾液ではなくがん組織と正常組織の解析によって得られた結果のようだ。

がん細胞特有の代謝物を見つけるだけでは終わらず、その代謝の経路を遡って追った結果、突き止めたのだという。

気の遠くなる作業だったろう。

研究の結果、曽我教授が見つけた物質は司令塔Xと現在のところ呼ばれている。

この司令塔Xは、ヒトの遺伝子の発現に関わるタンパク質だそうで、できたばかりのがん細胞に代謝異常を引き起こすよう命じ、その結果、そのがん細胞は悪性になるのだという。

さらには、がん細胞にたくさん栄養をとらせ、増殖しやすくする働きも持っているのだそうだ。

がんの悪性化、増殖に関わるのが司令塔Xなのである。

司令塔Xが無いと同じがん組織でも増殖の仕方が全然違うとのことだ。

がんになる前の大腸ポリープができた段階で、すでに司令塔Xは正常な人の7倍にも増えているという。

ポリープの段階でこの司令塔Xの数を抑えることで大腸がんへの移行を予防できる可能性があり、曽我教授たちはその取り組みをしている。

これも早期実用化が待たれる。


その他

番組ではこの他、乳がんのがんサバイバーの女性の話が紹介されていた。

しかし、他の番組で見た、別の病気の団体の運営に携わっている女性の話によれば、女性は集まって様々な話をすることで問題を抱えても立ち直りが早く、問題に向き合うことができるのだと言う。

男性は群れるのが嫌いで弱音や本音を他の人に話すことをせず、悩みなどを内に抱えこんでしまうため、中々立ち直れないのだとか。

男性が弱音を吐けなかったり孤立するのは、社会的な背景もあるので難しい。

男性のがんの向き合い方も良い手本があると良いと思った。

また、番組で紹介されていたのは、NPOのような団体に関わって「おっぱい銭湯」という乳がんの啓蒙活動をしたり、手術の前後でヌード写真を撮ったり旅行を楽しんだりという人生を前向きに積極的に楽しむ人達だった。

人によって向き不向きできることできないことがあるし、積極的に活動するのが好みでない人もいるだろう。

たんたんとがんや人生に向き合う生き方もある。

ポジティブな人の方ががんが増えないとか免疫力が高くなるらしいけれども、がんになってすらこうやって生きるのが好ましいという正解を決められるのはまた苦しい。

今、流行りのアドラーではないが、「嫌われる勇気」が必要なのだろう。

本の帯にある「人生を再選択せよ」という言葉は重い。

自分がこれで良いと思えるような生き方を選択する覚悟が大事なんだろう。

がんなどの病気になると嫌でもそのことに向き合わなくてはいけなくなるし、それ以前には納得できていた生き方も軌道修正が迫られる。


番組では末期がんが宣告された患者と彼らに緩和ケアを施す医師の話もあった。

前回の記事や上に書いた、がんが奇跡的に小さくなった人もいるが、大半はホスピスや緩和ケアに着替える人がいるのも現実だ。

避けられない死を目の前にして、積極的に旅行に行くにしろ、普段の生活を精一杯同じように続けていくにしろ、それを支える医者を始めとする医療者のチーム体勢は重要だ。

紹介されていた病院では、アメリカのチーム医療を参考に、患者本位の医療体制を作り上げた。

別の病院の小児がんを抱えた子供のこころのケアをするチャイルドライフスペシャリストも紹介されていた。

手術を始めとして治療に不安を抱えた子供に、点滴や薬の仕組みや手術の手順を説明したり、特別に作られたぬいぐるみや積木で自分が受けている治療を模したごっこ遊びをすることで、恐怖を和らげる取り組みをしていた。

がんを抱えて生きるだけでなく、治療にも当然向き合わなくてはいきない。

その恐怖や不安を小さくしてくれる仕組みは大人にもあっても良いかも知れない。


全部を細かく書ききることはできなかった。

がんが100%治る、あるいはがんになっても付き合っていける病気になりつつあるというのには希望が持てた。

一方で死はまぬがれないのも現実。

がんに限らず大きな病気や治らない病気を抱えることになるというのは珍しいことではない。

そのときに、どのようにその病気と向き合うか、またどのようにその後の人生を歩むかというのは永遠のテーマだ。

番組を見て考えさせられた。

がんと付き合いながら生きる。その方法。末期でもあきらめない。その1

「がん医療最前線」という番組を見た。

パート1は見逃してしまい、パート2だけ見た。

あるがん患者の奇跡とその秘密

冒頭でがんにまつわる、あるひとつの奇跡が紹介されていた。

京都に住んでいる男性、八坂正博(65歳)は、がんで余命半年と宣告されながら16年も生きながらえているというのだ。

病院への通院も半年に一度だそうだ。

普通は寛解状態になっても通常は、最初のうちは1ヶ月に一度、それが徐々に3ヶ月に一度、半年に1度と間隔が長くなっていくものだったはずだ。

彼は現在もステージ3の肺癌なのだそうである。

それが半年に一度しか病院へ通っていないというのは確かに普通ではない。

ステージ4が末期だったはずだが、ステージ3でもがんが肺の外へ飛び出して他の組織に転移している状態を指す。

リンパ節への転移も見られるということはそこから全身へ転移する可能性もある。

彼が肺ガンであるとわかったのは2001年。

手足が腫れ上がって病院へ担ぎ込まれたそうだ。

そこでCTを撮って末期の肺癌だとわかり、京大病院で放射線抗がん剤の治療を受けた。

治療で一命を取り留めたものの再発したそうだ。

ちょっとわからないのは再発というのが何を指すのかだ。

ガンが治ったのではないだろう。

手足が腫れ上がってどうにもならない状態がよくなったということなのではないだろうか?

ともかく、再発した時にはもう治療の術がないとのことでホスピスを紹介されたそうである。

彼はホスピスに入ることを拒否し、自分で治療法を探り始めた。

そこで彼が注目したのが滋賀県でよく食べられている伝統食だった。

それは滋賀県では「薬いらず」という別名がある名物食品、鮒寿司だった。

地元では体調を崩すと鮒寿司を食べるという慣習があったらしい。

鮒寿司はヨーグルトと同じ乳酸菌発酵の食品である。

身体には良いのだろうが、塩分が高く上、高価であり、一時的に体調を崩した時に食べるのならともかく、八坂さんのように体質改善のために毎日食べようと思うと難しい。

そこで彼は鮒寿司を元にしてある食品を考案した。

鮒寿司を種菌にしてヨーグルトのようなものを作ったのである。

ヨーグルトといっても牛乳はつかっておらず、鮒寿司の種菌に米粉と水で作られていた。

食事も玄米と野菜を中心にしたものに切り替え、それに加えて鮒寿司ヨーグルトを一日500g食べるようにした。

それを続けた結果、がんはなくなることはなかったものの大きくなったり広がったりすることはなく、10年以上そのままの状態を維持したというのである。

ネットで調べてみたところ、鮒寿司由来の乳酸菌に抗がん効果があるということで今では有名になっているようである。

がん抑制効果以外にも免疫強化やアトピー抑制効果があるようだ。

普通のヨーグルトの乳酸菌と異なり、鮒寿司の乳酸菌は植物性乳酸菌と呼ばれるものだ。

鮒寿司研究をしている前田浩明農学博士によると、病院と共同で鮒寿司由来の乳酸菌を患者に摂ってもらい、八坂さんと同じような効果を得ているとのこと。

メカニズムははっきりとはわかっていないようだが、リンパ球を始めとする免疫細胞が活性化されることでがんが抑制されるらしい。

八坂さんの治療歴の資料には鮒寿司を食べ始めた2006年で放射線抗がん剤による治療をやめていることが記録されている。

現在は半年に一度、病院へ通っているそうだ。

担当医師のプロフィールを見ると、東京大学医学部附属病院の呼吸器外科となっていたので東大病院へ通っているのだろう。

この担当医は八坂さんの件に関しては、科学的根拠が十分でないので、鮒寿司については否定も肯定もしないという立場のようだが、将来効果が認められる可能性についてはありうるという考えのようだ。


がんの棲みにくい身体を作る食事法

がんを予防する食事に関する取り組みはこの他にも色々と行われているようである。

がんを治すのとは違って、がんを予防するという観点では比較的縛りがゆるいのだろう、公的な所でも研究が行われているのである。

細胞を傷つけ、がんの原因になる活性酸素を無効化する抗酸化物質を含む食品などはその代表的なものである。

同じく京都にある、からすま和田クリニックでは食事療法によってがんの治療効果を上げているそうだ。

食事指導によってステージ4の肺癌が小さくなり、半年という余命宣告から3年たっているという男性が2人ほど紹介されていた。

一人は全身の骨にまで転移していたものが食事療法によって消えたというのである。

また6年前にステージ4の乳癌の告知を受けた女性は、肺やリンパ節にまで転移していたものが腫瘍が小さくなり、抗癌剤治療をやめて食事療法中心の治療に絞って生活するまでに回復しているそうである。

ここでもがん抑制のメカニズムに関わっていると考えられるとして指摘されているのはリンパ球を始めとする免疫機能。

ではリンパ球を増やす食事とは何だろうか?

それはキノコ類だそうだ。

これを食べるとリンパ球が活性化されるのだそうだ。

また身体が酸性に傾いている状態も良くないのだそうだ。

酸性化すると癌細胞が増加するらしいこともあるが、少なくともがんが良くなった人は尿がアルカリ化しているのだとか。

身体をアルカリ性に持っていく食事も紹介されていた。

それは減塩。

塩分を多く摂るような食生活で身体は酸性に傾くのだそうだ。

がんがなくならないまでもがんが住みにくい身体を作ることが大事だという。

からすま和田クリニックの和田洋巳院長は、元々京大病院に勤めており、そこでがんが消えたり劇的に小さくなった患者を見てきたそうである。

そのような患者は皆、自然治癒力を高めるような生活に改め、体質改善に取り組んでいたのだそう。

特に多くの人に共通していたのが食事の改善だった。

和田先生が勧める、がんを予防する食事のポイントはというと、

まずは減塩。

上記の通り、身体が酸性化するのを防ぐためである。

次に生野菜。

癌細胞が増える原因となる全身の炎症を防ぐ効果があるのだとか。

この生野菜を食べるためのドレッシングも塩の量に気をつけて、粗挽き胡椒や亜麻仁油、レモン汁をうまく使うと良いそうだ。

そして、キノコ。

これも上述の通り、リンパ球を増やして免疫機能の活性化が期待できる。

普通に食べても良いのだろうが、炒めてからペースト状にすることで吸収しやすくするとさらに良いとのことだ。

ペーストにして色々な食材に混ぜて食べるようだ。

毎日50g食べるというのは金銭的にもちょっと大変だと思うが、命にはかえられない。

自宅で栽培できるものもあるので、自分で作ってみるのも良いかも知れない。

ご飯は白米よりも玄米が良いそうである。

糖分の吸収が緩やかになるのが良い。

というのも糖質はがんの格好の栄養源になるからだそう。

この前の血糖値スパイクの件もあるので、ご飯を玄米にしたり、血糖を上げない食生活は色々な面で重要なようだ。

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前立腺がん、膵臓がん、肺がんと多くのがんにかかりながらも80歳を迎えている男性も紹介されていた。

膵臓がんなどは生存率が極めて低いがんである。

それをも克服しているのだから、希望が持てるというものである。

がんがあちこちに散らばっていて、もはや癌細胞を切除するなどの治療はできないとのことで、からすま和田クリニックを受診したようだ。

食事療法によって、がんが無くなり、趣味のヨットを楽しむ生活が送ることができているとのことだ。

元々、個々人で独自に試していた食事療法などの体質改善の方法を、医療として患者さんに試してもらい、データを集めてエビデンスにしていくことが重要だ。

頭から、たまたまだとか、民間療法に関知しないというのでは、いつまでたっても科学的な根拠は蓄積されない。

そうであれば、食事療法を始めとする治療法はいつまでたってもキワモノ扱いのままである。

病院に見捨てられた患者を救っていることももちろんすばらしいが、民間療法の領域に果敢に取り組み、データを集めている和田先生は尊敬できると思った。

しかし、そう夢のような話ばかりではないようで、がんが目に見えて良くなったのは、このクリニックの患者の2割なのだという。

ということは8割はより状態が悪くなったか良くて現状維持ということだ。

しかしながら、食事療法というものにすがってこのクリニックを受診している患者の多くが、他の病院で匙を投げられたステージの進んだ人たちだとすると、2割も良くなっているというのは驚異的だとも言えるかも知れない。

和田院長が病院で指導している食事法は本にもなっている。


残りは次回

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血糖値スパイクは万病のもと。そのメカニズムと血糖上昇を抑える秘訣とは?

シリーズ医療革命「あなたを襲う“血糖値スパイク”」を見た。

NHKドキュメンタリー - シリーズ医療革命「あなたを襲う“血糖値スパイク”」

以前、NHKスペシャルで放送していた内容を再編集したものだ。

医療革命の方ではさら内容が充実しているので面白い。

血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクというのはいわゆる食後高血糖のことで、空腹時には血糖値に異常がなくても食後だけ急激に血糖値が上昇するというもの。

血糖値スパイクというのはNHKが名付けたようで、普通はグルコーススパイクとか血糖スパイクとか言われているようだ。

番組内でも医者や研究者はそのように言っていた。

以前は、食事をすると血糖値が山状に跳ね上がり、それがトリガーとなってインスリンが分泌され、速やかに血糖値が正常の範囲まで落ちるという風に、血糖値とインスリンの関係が説明がされていたように思う。

特に問題とはされていなかったのではないだろうか。

インスリンがうまく働かなかったり、インスリンの量が少なかったりして、血糖値がいつまでも下がらないことだけが問題にされていた印象がある。

ところが近年の研究ではこの食後にだけ起きるの血糖値の急激な上昇が、将来の糖尿病に繋がるだけでなく、がんや心筋梗塞などの原因となることがわかってきたそうだ。

日本人の1400万人がこの血糖値スパイクの症状を持っている可能性があるとのこと。

境界例や明らかな糖尿病は除外されているわけだから、この数字はかなり多い。


血糖値スパイクは何故、見つかりにくいのか?その危険性は?

NHKが一般の人に協力をお願いして行った調査では、おにぎり2個と果汁が入った野菜ジュースを食べて飲んで、その1時間後に血糖値を測っていた。

その値が140以上だと問題になるとのことだった。

番組では単位は表記してなかったが、血糖を測る計測器にはmg/dlと表示されていた。

朝食ならこのくらいの量の人もいるだろうが、昼食だともっと食べている人は多いのではないだろうか?

夕食ならさらに多く、豪勢な食事をしているだろう。

おにぎり2個と野菜ジュースだけで血糖値に問題が起こるのはちょっと意外というかショックだ。

番組では140どころか233を記録した人がいた。

食事をすれば血糖値は上がるのが当たり前だがどのくらいまで上がるのは問題ないのか疑問に感じた。

1時間以内に下がるなら問題ないのだろうか?

それともある一定以上に上がること自体、まずいことなのだろうか。

血糖値が高い事自体が問題で、1時間と言わず速やかに戻ることが望ましいということだと、かなり体質に依存するような気がする。

血糖値スパイクになる人でも多くの場合、2,3時間ほどで正常値に戻るそうだ。

健康診断は通常、空腹時血糖値しか調べないので問題が見つかりにくいとのことだ。

糖負荷試験を行うと血糖値スパイクも糖尿病もわかるようだ。

時間がかかるから通常はやらないのだろう。

しかし、心筋梗塞狭心症など心臓に問題を抱えている人の約半数が血糖値スパイクだったという調査結果もあるとのことだ。

血糖値が急激に上昇した状態が起きると血管の細胞で活性酸素が増えて細胞が傷つき、そこに免疫細胞が入り込んで血管の壁がもろくなるというメカニズムが起こっているようだ。

血管が傷つくわけだから全身の病気に関わっているのだろう。

心筋梗塞だけでなく、脳硬塞の原因にもなる。

活性酸素が増えて細胞が傷つくのでがんの原因にもなる。

さらには、血糖値が下がりにくいとインスリンの分泌量が増え、それが脳に到達することでアミロイドベータを分解する酵素がインスリン分解に使われて、脳内のアミロイドベータが減らずに蓄積していき、アルツハイマー型の認知症に繋がることも指摘されているそうだ。

この場合はインスリンの分泌量が少ないわけではなくて、インスリンの効きが弱い人の話なのだろう。

血管が悪くなれば脳の血流も悪くなるわけでその他の認知症の遠因にもなるのだろう。

まさに万病のもとになっているのが血糖値スパイクなのだ。


自己診断チェックテストと血糖値スパイクになりやすい人の傾向

福岡県久山町での大規模調査で血糖値スパイクになりやすい人の傾向がわかったとのことで、それを元にして作られたWeb上で自己診断テストがある。

“血糖値スパイク”危険度チェック|NHKスペシャル“血糖値スパイク”が危ない〜見えた!糖尿病・脳梗塞の新対策〜

上のサイトはNHKスペシャルのときのもので、そこで紹介された調査結果はこちら。

“血糖値スパイク”危険度チェック 集計結果|NHKスペシャル“血糖値スパイク”が危ない〜見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策〜

全体では高が14%で中と合わせると54%が血糖値スパイクの危険性があることになる。

男女別では男性が高、中合わせて68%の人が血糖値スパイクの可能性がありだ。

それもそのはずで、番組よると男性であるというだけで血糖値スパイクの危険性が高くなるらしく、チェックテストでは男性と答えるだけで4点加算されるようになっているそうだ(もちろん点数が高いほど危険性が高いという判定)。

女性は0点なのだ。

その他、年齢は45から54歳が最も高くて4点。55から64が3点。その他は0点。

親、兄弟に糖尿病の人がいる場合、なんと7点。

お腹が出ているかどうか、具体的には腹囲が男性で90cm、女性で80cm以上かどうかのチェック項目では、該当する場合、3点だ。

BMI(=体重÷メートルで表した身長の2乗)が26以上だと7点。23から25.9で3点。

血圧が高いかどうか、具体的には140/90mmHg以上、もしくは血圧の薬を服用中の場合には7点。

タバコを1日10本以上吸っていると5点。9本以下だと2点。

逆に、週に3日以上、意識して運動していると5点の減点となっている。

合計点が9点以下がリスク低、10から19点がリスク中、20点以上がリスク高とのことだ。

試しにやってみたら、「リスク高」だった。

すでに血糖値スパイクなのかも知れない。

薬のせいで太ってしまったのが大きい。

やはり肥満はまずいのだ。

しかし、痩せていても血糖値スパイクである人は少なくないことも番組では紹介されていた。

ある女性の糖負荷試験で甘い飲み物を飲んだあとの30分ごとの血糖値が映されていた。

0分 30分 60分 90分 120分
88 137 123 188 190

だった。

徐々に上がっているが2時間後がもっとも高くなっている。

前述のNHKが行った調査では1時間後の血糖値しか測っていない。

その場合、140以下なので血糖値スパイクとは判定されないことになるのだ。

この女性の場合、どのくらいでピークを迎えて、どのくらいで正常値になるのか気になるところだ。

スパイクというよりもダラダラ高い状態が続くタイプの糖尿病のような気がする。

順天堂大学院医学研究科の調査では20代のやせ型の女性の24%が血糖値スパイクだったとのことである。

原因として考えられるのは筋肉量で、糖分を取り込む筋肉がないことで糖分が血液中に増えてしまうそうだ。

だったら筋肉量が少ない女性のほうが血糖値スパイクのリスクが高いような気がするのだが。

ちょっとその辺が疑問である。


睡眠不足でも血糖値スパイクに。子供の頃から徐々にリスクが高まる

その他、睡眠不足でも血糖値スパイクになるリスクが高まるそうだ。

被験者は2週間、実験室に閉じ込められて生活し、24時間監視されるという実験だったようだ。

それだけでもストレスなような気がする。

最初の6日間は12時間睡眠で、次の6日間は4時間しか睡眠が許されないという内容だった。

後の2日は準備期間だったのだろうか?

ともかく、その状態で血糖値を測ると4時間睡眠の方が食後血糖値が高くなったとのことだ。

健康な人でも睡眠不足になるだけで血糖値スパイクのような状態になる。

人は眠るときには脳からホルモンのメラトニンが出るが、これが膵臓に到達するとインスリンが増え、筋肉に取り込まれることで糖の取込みを促進するのだそう。

睡眠不足でメラトニンが分泌が少なくなり、上に上げた効果が得られなくなるそうだ。

子どもたちの血糖値が平均的に高くなっていることもわかってきたようだ。

香川県で子どもたちの平均的な血糖値の高さがわかるヘモグロビンA1cを調べてみたところ、これが高めの子供が男子では全体の14.5%、女子では13.6%いた。

平均的な血糖値が高い子供は将来的に血糖値スパイクなどの問題を抱えやすいのだそうだ。

食生活の影響が大きいのであろうが、近年問題になっている子供の睡眠時間の現象とも関係があるのだろうか?


血糖値スパイクを防ぐ方法1 食べる順番

では、血糖値スパイクを防ぐ方法には何があるのか?

マウスを使った実験では、血糖値に問題のあるマウスに血糖値を下げる薬を2ヶ月投与したところ、ほとんどインスリンを分泌していなかった弱っていた膵臓が、インスリンを正常に近いくらい分泌するようになったそうである。

別の番組で初期の糖尿病で積極的にインスリンを注射することで膵臓が元気を取り戻すという事例が紹介されていたがそれと同じようなものだろうか?

毎日の生活を改善することでも同様の効果が期待できるそうである。

その改善のひとつは食べる順番を考えることである。

野菜を食べて、食物繊維によって食物(これには炭水化物などの糖質)の吸収を抑えることは知られている。

肉や魚などの脂質、タンパク質を摂ると腸からインクレチンという物質が放出され、胃腸の動きが遅くなり、食物の吸収が抑えられるのだそうだ。

さらにインクレチンには膵臓でのインスリンの分泌を高める効果があるそうだ。

野菜、肉・魚を先に食べ、最後にご飯やパン、麺類を食べると血糖値の急激な上昇を避けられるという結論だった。

締めにご飯やパンなどの主食というのはちょっと慣れるまで時間がかかりそうだ。

おかずの味でご飯を書き込む人がほとんどだろうから。

また口中調理を基本とする和食文化を持っている日本人には特に難しいと思う。

学校で三角食べを習った人も多いだろう。

三角食べ - Wikipedia

最後に味のあまりないご飯やパンを食べるなら糖質制限したほうが良いような気がする。

極端なことをせずにできる範囲で行うのが妥当なところだろう。

朝ご飯を抜くとその後の食事、普通は昼食になるだろうが、この時に血糖値スパイクが起きるようになってしまうらしい。

朝も昼も食べないと、夕食を食べた時に血糖値スパイク。それも朝だけ抜いた時よりも急激なスパイクが起きるそうだ。

私は夜に1食だけ食べるので確実に血糖値スパイクが起きている。

気をつけなければ。

複数回の食事に戻すか、より厳格な糖質制限をするか選択に迫られているのかも知れない。

低血糖症、血糖調節異常 | 新宿溝口クリニック

うつ病や精神的な不安定さ、慢性疲労などの背景に、食後や甘いものを飲んだり食べたりしたあとの血糖値の乱高下があり、食事の方法を工夫することでそれを防ぐことを提唱している一部の精神科医がいる。

こういうタイプの人は短い間に血糖値が上がったり下がったりするそうだ。

そのような人も結局、そのことを想定した検査をしないとわからないわけだから、血糖値スパイクと同様になかなか原因がわからず、ドクターショッピングをしたり、長く本来のものでない治療法を漫然と受けるだけになる。

上のリンク、新宿溝口クリニックのサイトを見ると血糖値スパイクのような症状を呈した患者の事例が紹介されている。

糖負荷試験をすると甘いものを飲んで30分で200を超える値まで急上昇。

90分あたりで空腹時血糖値の正常値とされる100前後に戻り、120分でさらに下がって60を割り込む。

その後、再び上昇に転じているのだ。

やはり血糖値スパイクとも関係があるのかも知れない。

ここのクリニックでは糖負荷試験を甘いものを摂ってもらった後、5時間にもわたって検査をする。

普通の精神科では、そもそも空腹時血糖値を調べることがあるくらいで、糖負荷試験など行わないから、原因を特定することなどできないのである。

健康的な食事をすれば、身体の不調や精神的な病気も治る!と半ば精神論的なことを言う人は昔からいる。

字面だけを見れば正しいが、その「健康的な食事」というのは、一般的な食事の内容や食べ方では無いことがよく分かった。

普通の食事をしていて調子を崩している人は、普通でない、特別に考えられた食事をしなくてはいけないのである。


血糖値スパイクを防ぐ方法2 低糖質食

アメリカのデューク大学では血糖値が高かったり肥満の人のための低糖質食の食事指導が行われているそうである。

軽度の糖尿病では糖質が占めるカロリーを全体の50%に抑えることが指導されているようだ。

重度の場合、糖質は全体の10%にまで抑えられているが、完全になくすことをしてはいけないらしい。

番組ではカリフラワーを細かくしたものをマッシュポテトやご飯の代用として紹介していた。

医師や栄養士と相談して素人判断で糖質制限しないことと注意していたが、番組の責任を逃れるための予防線のような気がした。

普通の人が医師や栄養士の指示を仰ぐ機会なんてほとんどないのだから。

すでに糖尿病などの病気があるなら医者と話す機会はあるが、低糖質食の相談をするためだけに病院にかかることはない。

一般の人に食事指導をしている栄養士というのも身近にはいないが普通だ。

給食センターや病院、老人ホームなどの施設にいる栄養士に聞く機会もない。


血糖値スパイクを防ぐ方法3 運動

食事だけでなく運動も血糖値を速やかに下げるのに効果的だそうだ。

それも散歩程度で良いそうだ。

食後15分ほど胃腸に集まる血液が、運動によって全身をめぐるようになるために、結果として消化がゆっくりになるからという説明だった。

仕事場で遠回りをしたり、立ったままで会議を行い、その場で足踏みをしても改善が見られたようだ。

別の研究で、家の中で足踏みをしたり早足でぐるぐる部屋を回るといったことでも、心拍が上がり普通の運動と似たような効果があったというのを新聞で見た。

家の中でもできる運動をすれば、血糖値スパイクにも効果があるのではないかと思った。


私も生活を見なおして血糖値スパイクにならないよう気をつけようと思う。

だが、努力だけでは難しいので、血糖値の上昇を緩やかにする健康食品と体脂肪を減らすサプリでも買おうかなとも思う。

血糖値を下げる効果があるとされているビオチンも良いかも知れない。