あれこれ備忘録@はてなブログ

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映画「スリング・ブレイド」

映画「スリング・ブレイド」を見ました。

あらすじ

主人公のカールは子供の頃から知恵遅れで、事件を起こす前には家においてもらえず離れに寝泊まりしていました。

12歳の頃、母親とある男との情事を目撃し、母親がレイプされているものと思って、題名にもなっている農具スリング・ブレイドで男を殺してしまう。

さらには母親の態度から二人が合意の上だったことを知ると、母親までも殺害する。

そのことで精神病院へ十数年もの間、入院生活をすることになる。

長い期間、状態が落ち着いているということで、退院を申し付けられ、突然、町へと返されてしまう。

少年に出会い、仕事を手伝ったことがきっかけで少年の家に住まわせてもらうことができるようになる。

しかし、そこには少年の母親の愛人である粗暴な男がおり・・・。

・・・・・・

・・・

そんな冒頭から話が始まります。

感想

精神病院に入院していた男がお金もほとんど与えられず、住む場所も手配されずに、町へ放逐されるのがアメリカでは当たり前なのでしょうか?

カールは一度、病院へ戻ってしまいます。

事件を起こす前には学校にもほとんどいけず、字も覚えられず、ベッドもなかったのです。

彼にとっては、もうそこが家だったのです。

冒頭の大学新聞の記者のインタビューを受ける中で、そこから退院という理由で追い出されることへの疑問を口にしています。

カールが戻ってきてしまい、ようやく病院長はカールを知り合いに紹介し、仕事をさせてもらえるように手配します。

そこで住み込みで働かせてもらっていたのですが、まもなく、少年フランクの母親リンダの好意で彼らの家に住まわせてもらうことができるようになります。

気になったのは、周囲の人がちょっと拍子抜けするほど、安易に精神病院に長期入院していた彼を受け入れてしまうことです。

そうでないと話が進まないのかも知れませんが、アメリカが差別のない国のように見えなくもないです。

実際はそんなことはないだろうと思うので注意が必要かも知れません。

住まわせてもらった家には粗暴な男ドイルがいますが、彼はなんだかわかりやすい不良上がりの男というのとはちょっと違い、喧嘩をするがすぐに忘れてバンド仲間を家に招待したり、その中には身体障害者がいたりします。

ステレオタイプな暴力的男であれば、障害者をからかうことはあっても、仲間などと認めたりしないと思います。

カールに対しても、差別的な言動をしたり威圧的な態度をとったりしますが、フランクとリンダとともに住むことを許し、一緒に暮らします。

酔って大声を出したりしますが、少年やその母親に手を上げることもなく、むしろ酔っていることもあって少年から反撃をくらい、言い訳しながら家に帰っていきます。

精神的な抑圧は大いにあると思いますが、よくあるような絶望的な暴力のある家ではないのです。

淡々と話は進むのですが、カールは最後にはおおかたの予想通りの行為、つまりドイルを、少年の頃に起こした殺人の時に使ったスリング・ブレイド芝刈り機の刃を使って殺害して、病院へ逆戻りするのです。

ドイルからの本格的に一緒に暮らす、自分を父親のように敬えという宣言を聞いて、確かに絶望的な気分を少年フランクが感じたとは思いますが、殺すほどのことがあったのかどうかちょっとわかりません。

全体的には良い話ではあったのですが、ちょっと腑に落ちないところも多かった映画でした。

いろいろ見落としているかも

私の見方が悪いのかも知れません。

他の人が書いたレビュー記事を見るまでスリング・ブレイドの意味がわかっていませんでしたから、やっぱり見ているようでどこか集中できていないのです。

私は自分が統合失調症になる前から、どこかでスリング・ブレイドの主人公と同じような境遇になるのではないかと思っていました。

統合失調症になって、その不安はかなり現実に近づいているような気がしています。

そんな自分が怖いです。

未来が恐ろしい。

追記

ざっと見返してみたところ、主人公カールが最後にドイルを殺してしまう理由にはやっぱり彼が知恵遅れであることとトラウマがあるのではないでしょうか?

カールはドイルに自分の父親を見ていたように思えました。

カールが知恵遅れになった理由になるのか、知恵遅れだからそうしたのかわかりませんが、カールの父親はカールが小さい頃に頭を蹴飛ばしています。

カールが父親に会いに行った時に、父親が酒浸りの状態でそのようにつぶやくのです。

またカールは父親に、母親が薬を使って堕胎した胎児の始末を命じられます。

カールにとっては弟です。

捨てろと言われたのですが、カールは工具を入れていた箱の中へ入れて、庭先に埋めます。

離れに住まわせて一緒に住むことを許さなかったり、弟になるはずだった胎児を始末させたり、「うすのろ」と罵ったり、頭を蹴飛ばすなどの暴力をふるう父親。

そんな父親を殺そうともカールは考えたことがあったとも言っています。

父親に会いにいって、何か不安定な気分が出てきたのか、カールは夜中にリンダとドイルがいる寝室へ踏み込みます。

理由を聞くと「洗礼を受けたい」とのことで、リンダが手配してくれることになるのですが、寝室へ入ってきたカールの手には金槌があったのです。

ドイルから決定的な宣言がある前からすでに、カールにはドイルに対する殺人衝動が起こっていたのでしょう。

その割には、最後は非常に用意周到に殺人を計画するのですが。

大分、見落としていた点がありました。

やはり、病気になってからいろんな能力が落ちています。

そのことを改めて感じました。

良い作品なので、機会があったら見てほしいと思います。

また、他の方が書いたレビューの方がわかりやすく、詳しく解説されているので作品に興味を持ったなら、そちらも読んでみてください。