吉川英治は岸信介が嫌いだったらしい
短いのですが、昨日、やっと読み終わりました。
先日、書いた、従順でも駄目、我が強くても駄目、試されて尚相手の心を惹き付けるようなしたたかさと魅力を身に付けなければならない女性の話も印象的でした。
菊池寛の公演の極意も一言ではありましたがなるほどと思いました。
興味深いのは、蜜蜂を自在に操る男の話の中で、吉川英治が自分も蜂を自在に操れたら、岸を刺して来いと一仕事命じるのに、と書いているところです。
他にターゲットにしたい人物についてはきちんと説明が書かれているのに、何の説明も無しに、岸という人物の名をあげているのです。
調べてみると、その作品が書かれた時期は岸内閣だったのです。
つまり、その頃に岸と言えば岸信介しかいなかったというわけです。
この頃、岸内閣は安保改正や、警察が予防的に人を拘束できるようにする法律を作ろうとするなど、随分、評判が悪かったようです。
作家らしい、ささやかな政治批判と意思表示を随筆みたいなものではありますが、作品に見ることができました。
現在、岸信介の孫に当たる安倍晋三総理の下で、マスコミを始めとして言論の自由が奪われているという指摘があります。
先日も記者会見の質問が事前に申請されたもので、まる作られたようなものだったという事実が一部で報じられました。
50年以上前の作品を読んで現在の問題と過去の出来事の因果を考えてしまいました。
広く意見を募り、より良い藩政に役立てようとした異見会の話も今の政治を皮肉っているのか?と思わせる内容で印象的でした。
短いのでほとんどの人はさらっと読めると思います。