盗聴妨害機の形態がいつの間にか変わっていた
以前は盗聴妨害機というと盗聴器の出す電波を妨害する電波を出すタイプのいわゆるジャマーだった。
しかし、電波法の問題からなのか、一般にはほとんど出回らなくなった。
しかも、盗聴器に使われているとされる数百MHz帯を妨害することのできる妨害機はほぼない。
主に携帯電話の3G、4GやWiFi、Bluetoothの電波帯を妨害するものである。
VHF、UHF帯まで妨害するものは専門店でほそぼそと売られている。
Amazonやヤフオクで売られているものは4万円前後だが、専門店で売られているものは7万円から10数万円する。
電波を妨害するタイプの盗聴妨害機に変わって出回るようになったのは、音を使って妨害するタイプである。
これは大雑把に言えば、ホワイトノイズ、いうなれば砂嵐ノイズ、ラジオでチューニングがあっていないところで鳴る音を発生させることで、人の話し声などを聴きづらくするものである。
また壁につけて壁を振動させることで壁に取り付けられるコンクリートマイクによる盗聴をしづらくさせる。
効きづらくする効果に加えて、雑音のせいで聞き続けるのが苦痛になるという効果も狙っているものと思われる。
振動はともかく、音の雑音に関してはあまりこのタイプの盗聴妨害機はあまり魅力的ではない。
同じようなものを自分で用意することが可能だからだ。
YouTubeで「ホワイトノイズ」と検索するとこのような動画が見つかる。
これをWebサービスサイトなどでMP3に変換・ダウンロードし、MP3プレーヤーで再生すれば良いのである。
壁に盗聴器が仕掛けられていることが確実ならば、ヘッドフォンを分解するなどしてスピーカー部分を壁に押し当てて固定すれば良い。
ちなみに上の動画は程よいホワイトノイズが流れていると周囲の物音がかき消され勉強に集中できることから、それを目的にした動画であり、ホワイトノイズは控えめである。
これでは盗聴をしづらくしたり、盗聴し続けるのを苦痛にするという効果は期待できない。
そこで「エージング」で検索した動画を利用する。
エージングとはヘッドホンやスピーカーの慣らし運転のことのようである。
新品のヘッドホン、スピーカーは部品が良い具合に劣化しておらず、振動部分が硬いなどの問題があるのを雑音を流すことでこなれたものにするのであろう。
エージングとともに「ピンクノイズ」と書かれているものがあった。
ピンクノイズは出力のパワーが周波数に反比例する雑音のことだそうだ。
つまり低温の音が大きく、高温の音が小さいノイズである。
ホワイトノイズは低温から高温まで同じ大きさノイズである。
多くが1時間以上の動画なのだが、これだとファイルサイズが大きく、変換にもダウンロードにも時間がかかる。
またプレーヤーによっては再生できない場合がある。
30分程度の短い動画を使うか、ダウンロードしたあと音声編集ソフトで短く作りなおすと良いだろう。
エンドレスでループ再生すれば良いので、短いファイルサイズで十分である。
盗聴に悩まされるということは通常あることではないが、ネットが普及して、さらにはIT技術の向上、中国など安い労働力で精巧な回路が作れるようになったことで、盗聴器が簡単に手に入るようになった。
簡単に手に入り、軽い気持ちで設置可能である。
誰が取り付けたか、多くの場合には取り付けられたことにすら気づかないことが多い。
つけるのは簡単、見つけること取り除くことはとても難しいというやっかいなものなのである。
音声による盗聴妨害では部屋にあることが確実であれば、どこにあるかを特定しなくても音を聞かせることができれば良いので簡単に対処可能な妨害方法である。
盗聴の疑念がある人は試して欲しいと思う。
注意が必要なのは、この音声によって盗聴を妨害する場合、もちろんこのタイプの盗聴妨害機についても言えることだが、部屋にいる本人もこの雑音を聞くことになる。
壁に取り付ける場合、壁側に音が伝わること、盗聴器は小さな音を聞き取るために音声を増幅していることが多いため、部屋にいる側の人にはそれほど気にならない音量にすることも可能である。
しかし、部屋のどこかにある場合、部屋中に聞こえるようにしなければならないので、部屋の中にいる人にもある程度、苦痛な状況を強いることになる。
会議などの内容を聞かれたくない場合には、会議の間だけつければ良いし、会議室だけにつければ良いから我慢できるだろう。
しかし、個人の部屋などに取り付けられている場合には、その人が部屋で過ごす間、ずっとつけていなければならない。
場合によっては、いるいないという状況を知られないために24時間つけっぱなしにすることも必要になる。
本当に盗聴はやっかいで悪質である。