『SHERLOCK The Abominable Bride シャーロック 忌まわしき花嫁』
シャーロック・ホームズは19世紀のヴィクトリア時代を舞台にした探偵小説です。
SHERLOCKはそれをモデルにし舞台を現代に設定したイギリスのドラマです。
現在までにシーズン3まで作られています。
この作品はシーズン4前にして、クリスマスシーズンにイギリスで放送されたものです。
現代を舞台に作られたシャーロックたち登場人物を再びヴィクトリア時代を舞台に登場させたという特別編です。
SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁 - Wikipedia
リコレッティ夫人は、夫トーマスとの結婚記念日当日に、花嫁姿で通りに面したバルコニーに建ち、二挺拳銃で乱射を行う。それから自分の頭を撃ち抜いて自殺した。しかしその夜、死んだはずの彼女は夫トーマスの前に現れ、彼をショットガンで殺害し、夜霧の中に消えていった。
事件の概要を聞いたホームズは当時の検死局にあたる死体安置所へ行きます。
そこで本編(シーズン1からシーズン3までをこう呼ぶことにします)に登場する女性モリー・フーパーが男性の格好で現れます。
当時の検死の担当、というよりもほとんどの職業に女性が携わることはないので、このモリーが男性の格好をして登場するのはファンサービスのようなものかと思ったのですが、この演出も事件の重大な要素なのでした。
ドラマはヴィクトリア時代を舞台にした別世界の話かと思いきや、実はシーズン3までの本編とリンクしています。
リコレッティ夫人と本編のシーズン2で死亡したモリアーティともリンクしています。
リコレッティ夫人を「彼」と言い間違えるところにもこの罠が隠されているのです。
本編のシーズン1からシーズン3までとさらには原作を読んでいるとより楽しめます。
本編のドラマで、興味をそそられる事件が無く退屈していたホームズが部屋で銃を撃ち、スマイルマークを作りますがこれは原作でも登場します。
それが登場するのは『マスグレーヴ家の儀式』です。
原作では当然、スマイルマークなはずはなく「V.R(ヴィクトリア女王)」です。
特別編ではきちんと壁の銃弾が「V.R」になっています。
しかし、そのことには触れるシーンはありません。
本編ドラマと原作を知っている人だけが楽しむことができる演出なのです。
特別編ドラマのモデルも原作のうち、同じく『マスグレーヴ家の儀式』で名前だけ登場する事件「内半足のリコレッティとひどい妻の完全な記録」となっています。
シーズン1からシーズン3はまだ原作を知らなくても楽しめますが、この『忌まわしき花嫁』はこれまでのシーズンと原作を知らないとちょっと理解しづらいし、楽しめないかも知れません。
『オレンジの種5つ』のモチーフも使われています。
さらにはワトソンが「モルヒネかコカインか?」と尋ねるシーンもそれに「コカイン7%溶液」というのも『四つの署名』に登場します。
私はまだ小説をすべて読んでいないのでこの他にもまだ使われている原作の話があるかも知れません。
確かワトソンがこっそり薄めていてそれをすでにホームズはわかっているという表現がある話も原作にあったと思ったのですが、それは映画の1シーンでした。
『忌まわしき花嫁』のラストでワトソンがコカインの濃度が7%というが本当はもっと高かったのでは?と聞くシーンがありますが、この映画のオマージュなのですね。
この他、本編の現代版に登場する小物が形を変えて特別編に登場していたりもするようです。
原作と本編のシーズン1から3までを見て、このドラマを何度も見て細かくチェックすると面白いところをたくさん見つけることができるでしょう。