あれこれ備忘録@はてなブログ

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似非医学と権威主義のはざまで

随分、前に書いた記事がはてなブックマークのエントリーにランクインしました。

b.hatena.ne.jp

 

この記事に関しては、記事の中で最初に紹介した記事を書いた方から懸念の声があり、それについても私なりにその時の思いを書きました。

 

arekorebibouroku.hateblo.jp

 

今回、はてなブックマークにリンクされたので、もう一度考えてみたいと思います。

 

私も基本的には通常の医療を受けるべきだと思います。

 

しかし、それで治らない場合には、どうしても別の方法を人は模索するものです。

 

安易にそれを否定する人は、少し考えてほしいことがあります。

 

腸内フローラが注目される以前

痩せている人のウ○チを太った人に移す治療が生まれるかも!? - あれこれ備忘録 〜はてなブログ支店〜

 

自然療法に効果があるという根拠はこれかも!? - あれこれ備忘録 〜はてなブログ支店〜

 

腸内フローラが体に様々な影響を与えていることが最近、わかってきていますね。

 

腸内細菌の環境によって同じものを食べても確かに太る人と太らない人がいることがわかってきたのです。

 

中にはこのようなことまで既に起こっています。

どうやら「デブ菌」が現実に存在するらしい、肥満者の糞便移植で受けた人が急速に肥満に | Medエッジ

 

このことが一般に知れる前にはどう言われていたか思い出してください。

 

同じだけ食べても太ってしまうという人がいるが、そういう人は必ずどこかで食べているものだ、と言われていませんでしたか?

 

そういう医者の話を聞いていた人は、安易にそれに同意して、太った人たちにあらぬ疑いを書けたことはありませんか?

 

嘲笑のネタにしたことはありませんか?

 

もしかすると、ホメオパシーで同じことをしている人たちもそれと同じかも知れませんよ。

 

 

kyupin先生はホメオパシーを臨床で使っている

私はホメオパシーを全面的に支持してはいませんが、安易に否定もしません。

 

精神科医で具体例や体験談を絡めて、精神疾患や薬について、多くの役立つ情報を提供していて、メンタルヘルスの悩みを抱えている人だけでなく、ネットユーザーの間でも知っている方が多いであろうkyupin氏がという方がいらっしゃいます。

 

バッチフラワーレメディーの不思議さ|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

 

デプロメールとレスキューレメディ&PMS|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

 

西洋医学で薬物療法を中心に実施しているkyupin氏がホメオパシーを併用しているということを意外に思う人もいるのではないでしょうか?

 

私もそうです。

 

何故、kyupin氏がレメディーを使うのかといえば、ブログの中でも述べられている通り、「効く」からでしょう。

 

ここからは私の解釈ですが、混乱、パニック状態の患者がいたとして、麻酔薬のような薬で昏睡させたり、呼吸や心拍に影響が出るような副作用を起こさせること無く、ケアする側と患者が傷つくような事態を避けられ、ベッドに拘束するようなことをせずにすむとしたら、ホメオパシーを用いるか?という問いに、kyupin氏はイエスと答えるのだと思います。

 

 

一般に認められている医療も根拠は不確か

一方、一般に認められているうつ病のモノアミン仮説とそれを根拠にした新しい世代の抗うつ剤SSRIについても、本当にそれがうつ病の直接原因かどうかはまだわかっていません。

 

そのうえ、治験をクリアしたあと様々な問題が起こっていることもみなさんご存知の通りです。

www.youtube.com

 

著作権の問題があるのでリンクを載せるのはどうか常々思っているのですが、今回は載せることにします。

 

SSRIで衝動性や攻撃性が刺激され、小さな事件から、世界的に知られた凶悪事件に至るまで、関連が疑われる状況になっています。

 

効果の作用機序や、うつ病のメカニズム、それが治るメカニズムがわかっていないくらいなので、このSSRIと衝動性・攻撃性との関係は、未だにはっきりとはわかっていないはずです。

 

しかしながら、あることが間違いなく、社会に与える影響が大きいために、10代への処方のあり方が見直されたり、注意事項が追加されたり、多剤処方やその量、段階的な減薬や薬の変更などガイドラインが作られ指導されることになりました。

 

これが攻撃性が自分に対するものだけに限定され、自殺するだけであれば、もしかするとエビデンスが無いとして放置され続けたかも知れません。

 

はてなブックマークメンヘル系や民間療法が話題になるたびに、「病院行け」などと安易に書いている人、嘲笑している人たちは、上のホメオパシーのことも含めてもう一度考えてほしいと思います。

 

 

子宮頸癌ワクチン副反応、心因説の怪しさ

 

子宮頸癌ワクチンの副反応について、再び話題になっていますね。

あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 日本発「薬害騒動」の真相(前篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

 

子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか 日本発「薬害騒動」の真相(中篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

 

本当は後編まで見てから書きたかったところです。

 

子宮頸癌ワクチンの副反応が、もともとストレスなどで精神的に不安定なところがあって、ワクチンの痛みがきっかけでおこった心因性の病気であるという意見に否定的な人たちを批判する記事です。

 

私はそもそも心因性説には疑問があります。

 

受ける人がもともと持っている精神的な問題と痛みや恐怖が原因だとすると、手術や生検などを受けた人でも一定数同じような後遺症を残す人が出ていないとおかしいですよね?

 

例えば、髄液をとる処置は背骨に大きな針を指すそうで、それ自体は痛くないそうですが、それが痛くないように麻酔をかける際の注射がとても痛いそうです。

 

その上、おかしな動きをして神経を傷つけてしまうと、半身不随などの後遺症が残ります。

 

痛みと恐怖、十分にありますよね?

 

小児患者の手術も年間少なからずあると思いますが、手術後子宮頸癌ワクチンと同じような反応を示す人がいるのでしょうか?

 

せいぜい、手術後、麻酔が切れた時に自分が置かれている立場がわからなくて混乱するという「せん妄」があるくらいじゃないのですか?

 

同じような痛みを伴う医療行為でもそれを受けた後に、子宮頸癌ワクチンの副反応と同じような症状を示し、数年間続く、というようなことが他にもある、だから、これも心因性であるというエビデンスはあったのでしょうか?

 

私は素人ですし、メディアを通じてしか知りませんが、そんな話は聞いたことがありません。

 

厚労省は、子宮頸がんワクチン、“副反応”症状で初の研究成果をあげた信州大学医学部の... - 市民運動「ワクチン反対の会・神奈川」 | Facebook

 

子宮頸がんワクチン、厚労省の意図的な排除|みかりんのささやき ~子宮頸がんワクチン被害のブログ~

 

元のニュースソースが見つからなかったので。

 

厚労省の検討部会は、心因説に否定的な研究者、医師をメンバーから外しました。

 

こういったことで研究・調査を妨げて、エビデンスが乏しいからということで否定する論法は科学でしょうか?

 

上の記事に関して言えば、心因説否定派は怪しげな医療であるという印象をもたせようとしているようにも思えます。

 

例えば

そして、最近口コミで患者が殺到しているのが、喉の奥(上咽頭)を綿棒で刺激するだけで、なぜか少女たちの症状が改善したという「Bスポット療法」だ。簡 易な治療法だが、遠方からの患者は入院させて様子を見るらしい。先日行われた学会発表の演題は「内科疾患における上咽頭処置の重要性:今、またブレイクス ルーの予感」。Bスポットという名称も学会演題も週刊誌を彷彿させる。

などというのは、Bスポットの有効性はともかく週刊誌を彷彿させるというのはこの記事を書いた人の印象に過ぎません。

 

Gスポット - Wikipedia

 

多分、これとの類似性からこんなことを言ったのでしょうが、Gスポットだってもともとは医師が存在を提唱したものです。

 

その存在の有無が論争を生んだことと、性に関するものであったためにメディアが面白おかしく取り上げることが多く、一般の我々がそのようなメディアを通じて知ったから、「週刊誌」的に感じるだけでは無いでしょうか?

 

ペニスやヴァギナという言葉を使って、病気や人体を説明する医師や科学者がいたとして、それらの言葉も同じような経緯で、一般人は知っているわけで、同じような思いを持つかも知れませんが、これらの用語は週刊誌を彷彿させると評価するのでしょうか?

 

卑猥な連想をさせるという印象論で、心因説以外の可能性を否定する論法は果たして科学でしょうか?

 

また、百歩譲ってワクチンを接種した女性達がストレスや精神的な問題を抱えていたとして、日和見感染や帯状疱疹のように、背景に発症しやすい条件があったとしても直接原因は細菌やウィルスということもあるわけで、ワクチンの成分が原因である可能性を早々に排除して心因性と結論づけた証拠は果たして示されていたのでしょうか?

 

科学的結論というのも純粋な科学ではない要素がたくさんあって怪しいものであるという良い例が子宮頸癌ワクチンの副反応を巡る論争だと思います。

 

ツボをWHOが認めた

WHOも認めるツボの有効性……経穴・経絡とは [ツボ・経絡] All About

日本中国韓国で一部バラバラであったツボと経絡の理論がWHOによって国際規格として整理・体系化されました。

 

海外でも東洋医学の有効性が認められてきたこと、西洋医学ではカバーできない癌治療などで起こる様々な不快な症状を軽減する補完代替医療の必要性が高まってきたことが背景にあると言われています。

 

以前はキワモノ扱いだったツボが世界的に認められたのです。

(ちょっ と冒険的な言い方をすれば、ツボとそれが各機能別に分類されている経絡の理論が認められたというのは間接的に気功を認めたとも言えるかも知れません。気が 体の外に出て他の人に影響を与える外気功はともかく、経絡上を流れている気の流れを説明した内気功についてはそういう言い方もできるのではないでしょう か?)

 

といってもツボを押すと病気や不快な症状が改善するメカニズムはまだわかっていません。

 

ツボと呼ばれる場所に何か解剖学的に特別なものは何も見つけられないようです。

 

以前は心理的なもので、一種の暗示だとも言われていました。

 

しかし、動物にも鍼治療が有効であることなどから見てもそれは本当なら草々に否定されなければなりませんでした。

 

それでもつい近年までツボは認められていなかったわけです。

 

かつては漢方、東洋医学全般も

今日のサイエンスZERO 漢方薬の新潮流 ( 生活習慣病 ) - 最近、ランニングを始めました! - Yahoo!ブログ

 

これもすでにソースがなくなっていたので言及記事。

 

番組では近年技術の進歩によって、ようやく漢方薬を科学的に測定できるようになり、効果を示すことができるようになってきたことが紹介されていました。

 

解析内容について書かれているページがありました。

 

福山大学薬学部 漢方薬物解析学研究室

 

「代替医療、とくに漢方および鍼灸における多角的な科学的評価手法の研究」成果報告(PDF)

 

現在でこそ、漢方は注目されていますが、以前は漢方もキワモノ扱いされていましたね。

 

他にも日本には昔、患者の口の匂いを病名の診断の材料にする医師がいたそうです。

 

病気によって特定の物質が体の中で増え、特有の臭いを発することがあることは現在ではわかっていますね。

 

しかし、この医者は権威があったかも知れないので彼自身はどうだったか分かりませんが、少なくとも彼の行為はキワモノ扱いだったでしょう。

 

断食・絶食もそうです。

 

食事制限をしたサルがそうでないサルよりも若いという研究結果が注目されました。

 

現在では短期間の絶食によって幾らか体調が良くなる人がいることは認められているでしょう。

 

絶食、食事制限で飢餓状態を作ることでミトコンドリアの働きが変わるなどメカニズムも少しわかってきてはいるようです。

 

しかし、基本的には明らかな内蔵の病気や代謝異常が無い場合、絶食・断食で何故、体調が良くなるのかがはっきりわかっているわけではないでしょうし、医学界で広く認められているわけでもないでしょう。

 

つまり、内蔵を休めるという理屈が成り立つとすれば、それは内蔵が疲労していることを意味しているのです。

 

副腎疲労についても「神話」などといって頭から否定できるかどうかわからないのです。

 

病気について、未知のメカニズムや治療方法を安易に受け入れるのは確かに危険ですが、エビデンスの乏しさや従来の理論との相違を理由に安易に否定するのも問題ではないですか?

 

それは結局、権威主義です。

 

子宮頸癌ワクチンの問題のように、心因性の病気であると決めつけ(そのエビデンスも不確か)、懐疑派の人を検討部会から排除し、研究・調査を妨げて、エビデンスの乏しい状態を維持し続けることで、心因説以外の可能性を否定することは決して科学ではないでしょう。

 

医療にも科学的な根拠が必要で、治療にタイムラグがあることは仕方がないことですが、そのタイムラグを意図的に長くする行為という意味でも決して許されることではありません。

 

通常の医療で救われていない人たちは、常に似非科学と呼ばれることもある玉石混交の民間療法と権威主義的に偏りがちな通常医療のはざまをさまよい、難民と化すのです。