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ビッグデータ法案で個人情報は守られるか?

先程、報道ステーションビッグデータの活用法案について取り上げていました。

個人を特定できないように加工すれば、個人の行動、購買、嗜好(指向)に関わる情報を第三者に提供することをできるようにする法案だそうです。

マクアードル川上氏は、個人は特定できないようになっているから安心ということを言っていましたが本当でしょうか?

これまで言われている通り、ある個人を表す番号に幾らかの情報がひも付けされているのが提供されるデータになるのでしょう。

それが別の第三者に提供される。

金銭と引き換えにそのデータをもらう、つまり、買うということもあるでしょうが、その第三者が持っているデータと交換という形で提供する場合もあるでしょう。

そうすると当然、データの精度を高めるために提供されたデータと持っているデータの突き合わせをするはずです。

それを複数の組織と複数回組み合わせると、段々と情報が紐付けられたその番号に個人の片鱗が浮き上がってくるだろうと思います。

また、将来、起こりうる可能性として、建前上、独立した営利か非営利の団体としてある組織ができ、そこへ多くの企業がビッグデータを提供します。

その団体は、上で説明したようなことをして、かなり完成されたデータを作り上げます。

そしてその団体が個人情報の一部を隠しているとは言え、かなりの情報が紐付けられたデータを、もともとデータを提供してくれた企業へ提供するとどうなるでしょう。

さらに、個人情報がわからないような加工というのが、ある企業は住所、氏名は隠すが年齢、性別は隠さない、別の企業はその逆、または同じ企業がそのように組み合わせを変えて複数データを提供するとしたらどうなるでしょう?

そして、そのようにされたデータを、企業が諜し合わせて作ったデータを一元管理する団体へ提供されたらどうなるでしょう?

形式上独立しているだけで、国の事業と密接に関わっていて個人情報を一時期にたくさん集めた団体としては「B-CASカード」を管理する株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズがここ数年では有名なところでしょう。

もし、そのようなところが前述のようなことに関われば、個人情報の匿名化の加工というのはほとんど無意味になるかも知れません。

そもそも、前提として、今現在ですら、個人は個人情報を自己防衛できていないのです。 この店はよく利用するし、他よりも信用できるから個人情報に関する規約に同意して会員登録をする。

こちらの店はほとんど利用しないし、以前に流出事件を起こしているから会員にならないという形で、私達個人は自己防衛していると思います。 それ以上の自己防衛などほぼ不可能でしょう。

しかし、その防衛術は企業の論理で無意味にされてしまいます。

イーバンク楽天に買収されて楽天銀行に、セシールライブドアの傘下になり、Yahoo!ポイントはTポイントと統合されてしまいました。

個人の防衛が十分にできていないということをまず前提にして考えなくてはいけません。

企業買収、経営統合、ポイント統合の際に、会員にその了解を取るということもされていないし、それが良いかどうかの議論すらしていません。

ビッグデータの提供はそういった状況で行われるということを知っておく必要があると思います。

心配しすぎだという人は、NSA個人情報流出を暴露したスノーデン氏と当時コンタクトを取っていた数少ないジャーナリストの一人グレン・グリーンウォルド氏が書いた『暴露:スノーデンが私に託したファイル』を読んでほしいと思います。

 

スノーデン氏は暴露に当たって、あることを非常に恐れていたそうです。

自分が批判されること、国から犯罪者として追われることは既に覚悟していました。

家族に迷惑がかかることは気がかりでしたがそのことでもありません。

彼が最も恐れていたことは、NSAが個人情報を違法に収集していたことを暴露しても、アメリカ国民のほとんどがそのことの重大さを理解せず、「国家や警察機関、治安組織が安全のためにそのくらいするのは当たり前」「そんなに知られて困ることなんてあるか?」などと考えて無関心に過ぎることでした。

現実にはそのようなことにはならず、全世界を巻き込んだ大問題になりました。

安全ということを理由に個人情報を無制限に集め、しかも、それついての管理はとても杜撰。

場合によっては、個人的興味によって個人のプライバシーを侵害することが行われていたのです。

NSA職員、一般人のヌード写真などを日常的に回覧

日本でもビッグデータ活用のルールによってはこれに似た事態が起こらないとも限りません。

特殊詐欺、ストーカー被害、商品購入の強要、病歴の暴露などなどは今でも起こりうることです。

10月にはマイナンバー制度が始まります。

ビッグデータの活用が広がるほどこういった危険は高まりますが、よくあることですが、広まれば広まるほどどの要素(ここでいえばどこの情報)がその騒動・事件の直接的原因になったのかわからなくなり、誰も責任を取らないということになるのでしょう。

メディアはこういったこともきちんと伝えてほしいと思います。